23日、栗東トレセンは全休日でのんびりとした雰囲気だ。
宝塚記念に出走を予定している
ウインバリアシオンも普段と変わらない様子。竹邑厩務員は休日にもかかわらず、愛馬の疲れをとるためにマイクロ
レーザーをあてて念入りに手入れをしていた。
天皇賞から一気に1000m短くなるが、これについて中山助手は「距離が短くなることは心配していない。うまく流れに乗れればいいね」とまったく気にしていない様子だった。これまでの成績が示すとおり、
ウインバリアシオンはどんな馬場でもこなしている。「高速馬場も道悪も、時計が速くても遅くても対応できる」(以下、コメントは中山助手)と同馬の自在性の豊かさを強調していた。
かつて屈腱炎といえば不治の病だった。そして、復帰できたとしても、能力が半減するのは否めなかった。しかし、
ウインバリアシオンは左前浅屈腱炎を克服しただけなく、1年5か月の休養を経て体に身が入り
パワーアップしている。
「血統的なものもあるだろうが、以前はゆるさがあった分、体をコントロールしきれないのか、運動中につまづくようなこともあった。でも、いまはゆるさが解消されて実が入ってきた。その分、そういったことがなくなった。年をとったから、弱い部分が解消されたのだろう」
また、これまでは再三、裂蹄に悩まされてきたが、今回はそれも無事クリアできそうだ。
「実は
天皇賞(春)のあと、ツメが少し割れていた。ヒビが入る程度だったが、そのままトレセンで調教を続けたら割れてしまうだろうと思わせるものだった。それもあっていったん放牧に出ましたが、ヒビの部分がのびてきて実戦にも耐えられそうだったので宝塚への出走が決まりました」
宝塚記念は、他のGIに比べるとGIを勝てそうで勝てなかった馬が優勝しているケースが多いように見受けられる。この話をふると、中山助手は「勝利の女神が微笑んでくれれば」とひっそりと微笑んだ。
(取材・写真:花岡貴子)