『POGの達人』誌上で展開されていた「ドラフト有力馬クロスレビュー」。今年は「netkeiba.com」にて皆様にお届けできることとなった。関東馬5頭、関西馬5頭のラインナップは、いずれも期待の大きい血統馬ばかり。果たしてレビュアーはいかなる判断を下すのだろうか?
【関西馬】
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オリエンタルアートの2012ステイゴールド×オリエンタルアート
牡 池江厩舎予定
須田鷹雄の評価→○
本誌では◎にしたが、山元に行ってから体が減ったあたりを見て、ここでは○に一段下げた。とはいえダメというわけではなく、ドラ1候補からハズレ1位候補(残ってないだろうけど)にしたくらいの感じ。昨秋見たときは意外なほど大人しかったのに、ここへきて良くも悪くもこの血統らしくなってきた印象。あくまでハイリスクリターンな血統とは認識しておきたい。これをドラ1で行くなら、2位は堅実タイプを指名したい。
栗山求の評価→○
偉大なドリームジャーニー、オルフェーヴルの全弟にあたる超良血。「ステイゴールド×メジロマックイーン」は現代を代表するニックスで、他にゴールドシップ、フェイトフルウォーが出ている。活躍馬はいずれもノーザンダンサー系のクロスを持っており、そのサポートによってニックスは完成するのだと思われる。ただ、配合的には申し分なく素質は抜群でも、本格化まで少々時間が必要かもしれない。
吉田竜作の評価→◎
もう説明不要の血統。馬体の造りなどもオルフェーブルによく似ている。この時期にしては馬がよすぎる気もするが、それもアラ探しというレベル。池江調教師が絶賛するのもよくわかる。早期デビューのメドも立っているのだから、欠点がないといってもいいだろう。
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スカイディーバの2012ディープインパクト×スカイディーバ
牡 池江厩舎予定
須田鷹雄の評価→…
予想が当たるかどうかは分からないが、セリで最高価格馬になった時点で、敢えて消してみようと思っていた。当歳時は良くも悪くも母の父スカイメサの雰囲気が出ており、今も骨格を基準にするとパワーが前に出ているタイプに思える。例えばダート馬ならダート馬で別に良いのだが、この馬のなかに秘められている芝馬としての良さとダート馬としての良さが打ち消し合ってしまうようなことがあるとちょっと怖いので、初志貫徹の無印。
栗山求の評価→△
母スカイディーバはフリゼットS(米G1・ダ8f)を勝った一流馬。母の父スカイメサはほぼダート専用種牡馬で、2代母の父アンブライドルド、3代母の父ジェネラルアセンブリーも硬いタイプだけに、ディープインパクト産駒でありながらパワーが前面に出た配合となっている。ストームキャット内包のディープ産駒ではあるが、キズナやアユサンのような芝向きの素軽さは期待できそうにない。ダート、洋芝、道悪向き。
吉田竜作の評価→△
シルエット自体はいいし、バランスも取れていると思う。ただ、かなり雄大なディープインパクト産駒という点がやはり引っかかる。母系も砂っぽい感じだし。潜在能力はあるのだろうが、体の芯に力が入るようになるには時間がかかるのでは? POG向きではないような。
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タッチングスピーチ ディープインパクト×リッスン
牝 石坂厩舎予定
須田鷹雄の評価→◎
馬についてはどう考えてもいい馬だと思う。牧場で見たあと産地馬体検査でもう一度見たが、前後の馬とは歩いてくるときの身のこなしの柔らかさが全然違う。細かい肢勢だとか言おうと思えば言えるが、外貌上の特徴にリスクと考えられるほどのものはない。唯一の不安は母の父サドラーズウェルズ。もし、このクロレビで栗山さんが「大丈夫」と判定しているようならば、私の◎はさらに強い確信を伴ったものとなる。
栗山求の評価→○
母リッスンはフィリーズマイル(英G1・芝8f)の勝ち馬で、近親には活躍馬多数。文句なしの良血だ。しかし、「ディープインパクト×サドラーズウェルズ」という直接配合は過去6頭がデビューして勝ち上がりはわずか2頭。あまり走っていない。ただ、馬体が抜群に良く、日本向きとはいえないデインヒルダンサーを父に持つ半姉アスコルティが現在4戦2勝と好成績なので、早めに能力が開花するようならかなりの器である可能性も。
吉田竜作の評価→○
前出の母スカイディーバとは対象的に、こちらは中型で筋肉質なタイプ。これがディープ牝馬の走るパターンかと思う。いくらか胴が詰まり気味にも映るが、マルセリーナやハープスターもそういう傾向はあった。不安視する必要はないだろう。強いて言うなら、この母の父との組み合わせに成功例が少ないことか。
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ポルトドートウィユディープインパクト×ポルトフィーノ
牡 高野厩舎予定
須田鷹雄の評価→◎
馬の良さは本誌でさんざん書いた通り。もうひとつ、全く科学的でない理由でこの馬に期待している。それは「競馬の神の計らい」。なにもなければ角居厩舎に行っていたはずの馬が、師がこの世代を取る、取らないの話があって、高野厩舎に行った。こういう事件というか出来事があったときには往々にしてそこに極端に走る馬が出る。「本来なら角居」シリーズの中で、最も長打が出そうな馬といえばやはりこの馬だろう。
栗山求の評価→◎
2代母が年度代表馬に輝いた女傑エアグルーヴで、グルヴェイグの4分の3同血。「父ディープインパクト、2代母の父トニービン」というパターンはハープスターと同じ。「ディープ×トニービン」は馬がゆるく完成も遅くなるが、トニービンを1代下げて間に硬い血を挟むと、うまくバランスが取れて晩成傾向も改善される。配合は文句なし。唯一の懸念は舌を縛って調教していることだが、レースでは問題ないと考えたい。
吉田竜作の評価→◎
ディープ産駒としてはちょっと見ないタイプに思える。しかしながら、丸みのある体つきは、どちらかといえばエアグルーヴの産駒にありがちな傾向ではないか。となれば、POGでも安心して指名できそう。名門出身のスタッフが多い、高野厩舎の腕の見せどころだろう。
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トゥザヴィクトリーの2012キングカメハメハ×トゥザヴィクトリー
牝 角居厩舎予定
須田鷹雄の評価→
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