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重馬場のタイプ分け

  • 2011年06月03日(金) 12時00分
 芝の道悪馬場、水分を含んだ馬場にも様々な種類があります。ザックリ分類すると「滑る馬場、滑らない馬場」と「ダート指向が強い馬場、スタミナで差す馬場」の2通りに分けることができます。つまり、単純に「重馬場巧者」とか「不良はいいけど重はダメ」といった具合にJRAが発表する馬場状態でタイプ分けするのは難しいのではないでしょうか。

 たとえば、芝のレースでJRAの発表が同じ重馬場でも「ダート指向が強い馬場」と「スタミナで差す馬場」とでは走る馬のタイプ、血統も大きく傾向が変わります。

 ダート指向が強い馬場の場合は、先行できて、血統的にもダートでリーディング上位の種牡馬が走ります。

 逆に馬力で差せる馬場の場合、欧州的なスタミナに富んだ血統で、粘り強く差してくる馬が走ります。

 今年のダービーデーの馬場は、09年のダービーのように「ダート指向」が強い馬場になると予想したのですが、実際には「スタミナで差す」競馬が得意な血統馬が走りやすい馬場になってしまいました。先週のオークスに続き馬場を読み違えてしまった形です。

「スタミナで差す馬場」が得意な血統の代表は、グレイソヴリン系や欧州型のノーザンダンサー系です。青嵐賞を10人気で勝ったピエナファンタストの父もグレイソヴリン系のジャングルポケット産駒。ダービー2着のウインバリアシオンの父ハーツクライはトニービンの血を持っています。

 また新刊の「血統ビーム種牡馬ファイル」でも再三指摘していますが、「スタミナで差す馬場が得意な血統馬」はダートでの成績はさほど良くないタイプが多い傾向が見られます。

 たとえば「スタミナで差せる馬場」が得意なステイゴールド、ハーツクライの産駒などは芝に比べてダートの勝ち星の方が圧倒的に少ないタイプの種牡馬です。ジャングルポケットも芝の短距離よりもダートの方がランキングが低いように、ダートは苦手としています。

「スタミナで差せる芝馬場」よりも「ダート指向の芝馬場」が得意なのが、ダートでも先行して抜け出す競馬ができる産駒が多いネオユニヴァースやシンボリクリスエス、キングカメハメハ、マンハッタンカフェなどです。

 本命のベルシャザールはダート指向が問われる芝が得意な馬。正直馬場の読みをハズしたので、ハズレを覚悟しましたが実力で頑張ってくれました。やっぱり競馬は適性云々言う前に強い馬を買うことが大事なのですね。

 さて、今週は安田記念です。当レースはロベルト系、グレイソヴリン系の血が強調された末脚に優れた人気薄が走りやすい傾向が見られます。

 昨年8人気で勝利したショウワモダンは前走がメンバー中上がり2位の末脚で勝利した母父がトニービンの血統馬。5人気で3着のスマイルジャックは父がロベルト系で2走前が上がり最速を記録していた馬。08年9人気で3着に走ったエイシンドーバーも母父がロベルト系のクリスエス。前走はメンバー中2位の上がりを使っていた馬です。

 また、安田記念は父サンデー系があまり馬券にならない珍しいレースですが、過去5年で唯一人気薄で馬券になった馬はダンスインザダーク産駒のジョリーダンス。

 ダンスインザダークのようにサンデー系のなかでもスタミナ指向の強いタイプや、ロベルト、グレイソヴリンの血が強調された人気薄の差し馬が走っているのは「スタミナで差す」適性が問われる馬場、レースになりやすいからといえるでしょう。

 安田記念は、血統面でも「スタミナで差せる血」がポイントになるレースですが、実績面でも近走上がり上位の脚を使っている馬の中でも、芝の中距離で上がり上位の末脚を見せたことがある馬を狙いたいレースです。

 ただし、今年もそのアプローチが通用する馬場なのかを見極めることがまずは重要なのですが。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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