ジャングルポケット産駒は、距離別成績に独特の傾向を見せます。およそ1年の距離別成績を調べると、芝2000mでの勝率は11%。芝2500mも12%と長距離で優秀な成績を収めますが、芝1600mになると勝率は5%台にダウン。勝ち星ランキングも大幅に下がります。
この成績だけを見れば、ジャンポケ産駒は距離が延びるほどパフォーマンスを上げやすいスタミナ型種牡馬。と、定義しても良いのでしょう。
しかし、ややこしいのは、芝1200mになると勝ち星ランキングが芝1600mよりも大幅に上昇することです。勝率も12%。芝2000m以上と同様の勝率を示します。つまり、スピードが問われなくなる条件ほどパフォーマンスを下げる種牡馬ではないのです。
芝1600mでは成績を落とすのに、芝1200mになると上昇するのは、1200mのレースの「流れ」が強く影響していることが考えられます。
芝1200mは芝1600mよりもテンが速く、上がりがかかりやすい流れになりやすい傾向があります。つまり、芝1200mの方がラストにバテる流れになりやすいため、最後に粘るスタミナ、底力は1600mよりも要求されるケースも多いわけです。
ジャングルポケット産駒は、スタミナ勝負と激しい流れへの対応力も高いため、芝1200mで結果を出す産駒も多いのでしょう。
別の見方をすれば、マイル寄りのキレが要求されるレースはジャンポケ産駒は苦手にしているともいえます。
今年の天皇賞秋でジャングルポケット産駒のトーセンジョーダンがレコードで快勝したのも、芝1200m並みのペースで流れ、ラストに踏ん張るスタミナを活かせたことも大きいのではないでしょうか。
と、レースが終わってから気がついても後の祭りなのですが、今週末もジャンポケの取捨に頭を悩ますレースが行われます。
アルゼンチン共和国杯は、トーセンジョーダン、ヒカルカザブエ、ジャガーメイルとジャングルポケット産駒が3連連続で馬券対象馬を出しているレースなのです。
あたりまえですが、過去3年ですべてのジャンポケ産駒が馬券になったわけではないように、必ずしもすべてのジャンポケ産駒が産駒が馬券になっているわけでもありません(仮にすべて馬券になっていても、今年必ず馬券になるほど競馬は簡単でもないですが)。
とはいえ、ジャンポケ産駒に相性のいいレースであることは間違いないので、ジャンポケ産駒が得意とするような流れに強いタイプの馬が走りやすい傾向は重視できるでしょう。
ジャングルポケット産駒の特徴は「激流のスタミナ勝負」にも強いことです。つまり、アルゼンチン共和国杯も「短い距離の流れ」に強いタイプのスタミナ血統馬が走るとも考えられます。
アルゼンチン共和国杯出走馬の「前走距離経験」別成績を調べても、前走の距離経験が短い馬ほど成績が上昇しています。
芝2000m経験馬は過去5年で勝率12%で複勝率が29%。単勝回収率165%で複勝回収率が146%。芝2400m経験馬は勝率9%。複勝率19%。単勝回収率は46%で複勝回収率は41%。芝2500〜2600m組は12頭出走してすべてゼロ。1頭も馬券対象馬を出していません。
短い距離の方がペースは速いですから、それなりに激しい距離を経験している馬が有利なレースなのです。
通常は、似たような距離を経験している馬の方が成績が上がりますので、距離が短くなるほど成績が上がるのは独特の傾向であり、馬券の上でも重要なポイントになりえます。
人気薄で馬券になった馬を振り返っても、昨年9人気で3着のコスモヘレノスは前走2000m経験馬。09年に11人気で勝利したミヤビランベリも前走2000m経験馬。07年に9人気で3着のリキアイサイレンスは2走前に1800mを経験。06年に6人気で3着のドラゴンキャプテンは前走2000m経験馬でした。
昨年もジャングルポケット産駒のトーセンジョーダンが勝ちましたが、前走は2000m。前々走は1800mを経験していました。
もちろん、近走で中距離を使われている以上、中距離馬である可能性も高いですから、血統的に2500m以上をこなせるスタミナを持ち合わせている馬を選択することも重要です。
つまり、アルゼンチン共和国杯は激しい流れを経験しているスタミナ血統馬を狙うこともポイントになるのです(昨年公開した予想は、本命コスモヘレノス、対抗がトーセンジョーダンでした)。
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