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ディープ産駒の“悪童”カレンバッドボーイ

  • 2012年08月08日(水) 12時00分
●サトノノブレス(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母クライウィズジョイ)
 ヒカルオオゾラ(父マンハッタンカフェ/09年エプソムCーGIII・2着、09年関屋記念-GIII・2着)の半弟にあたる。「ディープインパクト×トニービン」は連対率こそ高いものの、コティリオン(11年NHKマイルC-GI・2着)を除いてもうひとつパンチが足りない印象があったが、今年の夏にグルヴェイグ(12年マーメイドS-GIII)とラウンドワールド(2戦1勝)が立て続けに好パフォーマンスを披露し、個人的には心象の悪さが薄れつつある。父がサンデー系で、母の父がトニービン、牝系がアンティックヴァリューという構成はダービー馬アドマイヤベガと同じ。ハマれば一発がある。

●カレンバッドボーイ(牡 栗東・橋口弘次郎 父ディープインパクト、母ロレットチャペル)
 半姉チャーチクワイアは春菜賞(3歳500万下)の勝ち馬。母ロレットチャペルは未勝利馬だが、2代母サンタフェトレイル(5勝)はシンコウラブリイ(93年マイルCS-GI)、ハッピーパス(03年京都牝馬S-GIII)、タイキマーシャル(93年エプソムC-GIII)のきょうだいにあたる良血。「ディープインパクト×フレンチデピュティ」はボレアス(11年レパードS-GIII)とマウントシャスタ(12年毎日杯-GIII・2着)の兄弟やエネアド(11年東京スポーツ杯2歳S-GIII・5着)などと同じでよく走っている。父の柔らかさと母の父の硬さがうまくフィットするのだろう。本馬はそれだけでなく、母方の奥にAureoleが入り、Hypericum≒Aureole 6×7という4分の3同血クロスを持つ。これはディープインパクトの成功パターンのひとつで、母方にフレンチデピュティとAureoleを併せ持つ配合は前出のボレアスとマウントシャスタの兄弟と同じ。大物感あふれる好配合馬でデビューが待ち遠しい。

●ベルエアファルコン(牡 栗東・森秀行 父アグネスタキオン、母エービーヌードル)
 半姉セコンドピアット(父ハーツクライ)はフローラS(GII)5着馬。デビュー以来7戦して一度も掲示板を外していない堅実さは評価できる。母エービーヌードルは芝9ハロンの米G3勝ち馬。Cozzene、Arts annd Letters、Be My Guestなど、父アグネスタキオンと相性の良さそうな血を抱えており、半姉の安定度から考えてこの馬も芝中距離で堅実に走ってきそうだ。母の父Alphabet SoupはブリーダーズCクラシック(米G1)の勝ち馬。父としてはもうひとつだったが、スタミナと底力があるので母の父としてはおもしろい。

●アラビアンドラゴン(牡 美浦・岩戸孝樹 父クロフネ、母ネオクラシック)
 母ネオクラシックは2勝馬だが、フサイチコンコルド(96年日本ダービー-GI)、アンライバルド(09年皐月賞-GI)、ボーンキング(01年京成杯-GIII)のきょうだいで、甥と姪にヴィクトリー(07年皐月賞-GI)、リンカーン(04年阪神大賞典-GII)、アンブロワーズ(04年函館2歳S-GIII)などを持つ超良血。繁殖牝馬としても期待される存在で、これまでにクラシックセンス(準OP)を筆頭にコンスタントに良駒を送り出している。本馬の父クロフネは良血牝馬を相手に素直に結果を出すタイプ。芝・ダート兼用で中距離を得意とするだろう。

●イノベーション(牡 栗東・岡田稲男 父ダイワメジャー、母クイーンリザーブ)
 母クイーンリザーブは小倉3歳S(GIII)3着馬。半兄ラベ(父ダンスインザダーク)はフィリーズレビュー(GII)4着、半兄ストラテジー(父フレンチデピュティ)は小倉2歳S(GIII)で5着となった。母方にSeattle Slewを持つダイワメジャー産駒にはエクセラントカーヴ(12年クイーンC-GIII・3着)がいる。同産駒の2歳世代は7頭勝ち上がっており、そのうち2頭(トーセンレディ、ニーマルジョイ)がSeattle Sewを持っており、最近になって活躍馬が目立ってきている。母はSeattle Slew以外にもMr.Propsector、Buckpasserなどアメリカの主流血統を併せ持っており、いかにも仕上がりが早く手堅いスピードを備えているタイプ。新馬戦に出てきたら注目したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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