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オペラオー物語「GIなんて勝てるわけない!」/教えて和田さん(1)

  • 2012年10月03日(水) 18時00分
今月は、8月の小牧騎手に続く『教えてシリーズ』第2弾! ゲストは、若手騎手からリクエストが多かった和田竜二騎手です。第1回目の今回は、やはりテイエムオペラオーに関する質問から。デビュー2年目に訪れた名馬との出会いに、当時の和田騎手はどう立ち向かったのか…若手騎手たちは興味津々!

和田竜二騎手が登場!

和田竜二騎手が登場!

■死んでも期待に応えなアカン!
──今月は、和田騎手をゲストに迎えての『教えてシリーズ』第2弾です。和田さんには、どんな質問にも必ず答えていただきます!

和田 難しいことはやめてや…(苦笑)。

──では、さっそくお願いします。

松山 じゃあ、僕からいきます! テイエムオペラオーってどんな馬だったんですか? 当時の和田さんは、今の僕らと同じくらいの年齢だったんですよね?

和田 20歳くらいやったなぁ。どんな馬だったか? 俺が教えてほしかったわ(笑)。

松山 どういう気持ちで乗っていらしたのかと思って…。

和田 自分をベテランだと思い込んで乗ってたよ。

優作 えっ、どういうことですか?

和田 なんていうのかなぁ…、「俺はもう若くない!」って思い込むというか。そうでも思わないと無理やった。ジャパンCのときも、必死に「周りは全員日本人や!」って思い込んで乗ってたよ。

──以前、お話をうかがったとき「当時は廃人のようだった」とおっしゃってましたよね。

和田 そうそうそう。本当に疲れるんだから…。

松山 疲れる?

恭介 プレッシャーがすごすぎてですか?

テイエムオペラオー(00年有馬記念時)

テイエムオペラオー(00年有馬記念時)

和田 周りがまた盛り上げるから。俺も盛り上げなアカンと思いつつ、でも、盛り上がりすぎたら自分が飲まれるからな。だから「今回は勝ちます!」とか言ったことがなかった。「絶対に勝たれへん」と、内心ではいつも思ってた。本当は「勝ちます!」って宣言して勝つのが一番カッコイイけどね。それ以前に、大丈夫だ、お前ら。あんな馬はそうそう出てこないし、乗れないから。心配すんな!

松山 そんなぁ(苦笑)。ちょうど競馬をよく観ていた時期だから、テイエムオペラオーはすごく覚えてるんです。

若手一同 僕も!

和田 乗せてくれた岩元先生がすごかったんだと思う。俺なんか、馬について行くのに必死やったわ。だって俺、東京競馬場で勝ったことがないのに、ダービーとか乗ってたんだから(笑)。今思えば、勝ったことがないのに、ダービーなんて勝てるわけがない。なにしろ、勝ち方を知らないんだから。

高倉 東京自体はよく乗りに行かれてたんですか?

和田 遠征は1年目からよく行ってたよ。俺らがデビューしたころは、東京や中山なんて行かせてもらえないのが普通やったけど、うちの先生はバンバン行かせてくれてね。だから、騎乗経験はあったんやけど、なにしろ勝ったことがないから、よくわからなくて。欅(3コーナー付近)から仕掛けてた覚えがある(笑)。

松山 それで直線で止まる…みたいな感じですか?

和田 そうそう。今なら考えられへんことやけど。でも、やり直しができないのが競馬やからね。GIなんて、ギャンブルみたいなもんやで。

松山 一か八か…ということですね。

和田 そう思っておいたほうがいいよ。当たるか外れるかだけや。(スプリンターズSを目前に控え、緊張する松山騎手に小声で)勝てるで。

松山 いやいやいやいや…(苦笑)。

和田 でも、プレッシャー感じてるやろ?

松山 はい…。でも、オペラオーのときの和田さんほどじゃないと思いますけど。

恭介 そりゃそうだ。

和田 でも、今の時代、失敗したら乗り替わりもあり得るわけだろ?

松山 そうですね。

和田 俺はクビにならんかったもん。さすがに菊花賞で負けたときは(2着)、なりそうだったけど。先生もそのときばかりは「さすがにもう無理やな…」って、あきらめかけてたけど、いろいろ経緯があって、関係者の方がチャンスをくださってね。

恭介 そうだったんですか。うれしい反面、それ以降、プレッシャーがさらにきつくなりそうですね。

和田 うん。でも、それをきっかけに、俺自身変わった気がする。これはもう、死んでも期待に応えなアカン!と思った。

松山 そこからは、ずっと連勝されたんですよね。

若手一同、興味津々

若手一同、興味津々

和田 そうだけど、そのぶん廃人のようやった。競馬の2週間くらい前から、お寺の住職みたいな生活をしてたわ。

若手一同 へぇ〜!

和田 酒も一切飲まずに、これでもか!っていうくらい規則正しい生活をしてた。これで負けたらしょうがないやろ、って自分に言い聞かせてたんやね。

松山 やるべきことはすべてやって…ということですね。

和田 俺なりにね。俺のように、あえて自分を律して挑むか、逆にパーッと遊んで自分を鼓舞して挑むか、どっちかやね。

【次回のキシュトークは!?】
まだまだ続く、テイエムオペラオーのお話。抜け出すと気を抜く癖があったという同馬との戦いの苦悩や、ファンからの抗議の手紙に戦々恐々とする日々など、若手騎手からの質問に、和田騎手が当時の心境を赤裸々に語ります。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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