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今年の産地馬体検査にちょっとした変化(須田鷹雄)

  • 2013年03月29日(金) 18時00分
 今年もPOG取材が始まりつつある。

 ただ、まだ原稿にまとめられる段階ではないので、今回は今年度の概況のような話をしよう。

 おそらく「赤本」のまえがきあたりにも書くことになると思うが、今年の大きな変化として、早い時期の競走馬登録の変化がある。

 POGというと産地馬体検査組、通称サンチバ組が話題になることが多い。この産地馬体検査は早期デビュー馬、中でも北海道シリーズデビュー馬を対象にしたもので、受検馬イコール早期デビュー馬ということでPOG媒体が登場した当時、取材での注目度が高まった。

 その後、「とりあえず受検組」が増え、サンチバ組が実際に早期デビューする比率は低くなっていく。その一方でサンチバ組は取材者にとって多くの馬を一気に見られるチャンスであり、またきれいな立ち姿でないとはいえ写真も撮れるので、媒体での扱いは大きくなっていった。

 7〜8年続いたこの流れが今年、久々に反対方向に動きつつある。産地馬体検査の受検希望馬がぐっと減ったのだ。まだ正確な数字は把握していないが、例年は受検希望馬を抽選で絞っているところが、地区によって定員割れもあったようだ。

 理由は2つある。ひとつは今年の北海道シリーズが函館単場開催であることだ。ならばサンチバを受けないでも直接入厩で函館に行けばいい(昔はこの直接入厩という制度もなかった)すればいいということで、受検回避になるわけだ。

 もうひとつは、厩舎ごとの在籍頭数が馬房の3倍→馬房の2.5倍になったということである。当然のことだが、繁盛厩舎ほど馬房運用がタイトになる。既に下級条件馬の転厩などが発生しているが、早期デビュー組でない2歳に籍をつけると状況を苦しくするわけで、以前ならサンチバを受けていた馬も止めることになる。

 前者の理由は早期デビュー馬を隠してしまう効果がある(例年の札幌のタイミングで下ろす馬が見えにくくなる)が、後者は上記厩舎における早期デビュー馬を分かりやすくする効果がある。ただ、すべてが単純な話ではなく、上記厩舎でも馬房繰りに余裕があってサンチバに出してくるところがあるのでややこしい。

 最終的なリストだとどの厩舎が多く受検してどこが少ないのか分かりにくくなるが、たとえば厩舎ページのリストでサンチバ組だけをマークしてみると、厩舎ごとの方針が見えてくるかもしれない。いずれにしても戦略性が生まれるということで、今年の産地馬体検査は久々に面白い。

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