幸せも不幸も、ある日突然やってくるものです。
エアグルーヴが23日午後、病気のために急死しました。ルーラーシップの全弟を生み落したその日の夜に亡くなったとのこと。残念で残念で…日本の宝がまたひとつ消えた虚しさ、言葉にできませんでした。
エアグルーヴの写真は96年オークス(撮影:下野雄規)
翌朝、エアグル―ヴを現役時代に担当していた田中厩務員のところへ行ってきました。愛馬の一生の中でいちばん長い時間をともにした同志ですから…。「滅多に昔の写真なんて見ないんだけどね。昨晩だけは写真を広げて当時を思い出していましたよ」と田中さん。エアグルーヴのたてがみはレースではいつも丁寧に編み込まれていました。これは田中さんが「競走馬にとってレースは晴れ舞台。オシャレしないと!」と、時間をかけて施していたものでした。
そうそう。エアグルーヴについては、以前から厩務員さんにとっては扱いやすかったという話をしてくださっていました。「競馬にいくとテンションが一気に上がり、装鞍所やパドックでは手を妬いたようだけど。根が素直なお嬢さんだからね。いい子だった。」
競馬って競走馬にとって、いったいどんな存在なんでしょうね。1着になったからといって、美味しいものが食べれるわけでもない。お金の価値がわかるわけでもない。でも、人間からより速く走ることを望まれ、体の節々を痛めながらもその期待に応えていく。
エアグルーヴが現役時代、レースにいくと一気にテンションが上がったのは、彼女にとってはやはりレースが苦しいものだったからなんじゃないかな、と。想像したりしていました。それでも、決して最後まで手を抜くことはなかった。当時はマイル以上の距離で牝馬ながら牡馬と対等に戦う馬は珍しかいものでした。でも、その一生懸命な姿にたくさんの勇気をもらいましたよね。競走馬として、そして母として、最期の最後まで走り続けた名牝のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
アドマイヤラクティ
さて、今週の天皇賞(春)はアドマイヤラクティの一発に期待しています。普段はすごく落ち着いているラクティですが、「最近はグッと気合いが乗ってきたんですよ」と西原助手。先週、岩田騎手が追い切りに騎乗した後あたりから馬がグッと変わってきたそうですよ。長距離戦ですが、ラクティの場合は根がのんびりしているのでこのくらい気合いが乗ったほうがいいそうです。「はい、そのほうが動きたいタイミングで動けますからね」(西原助手)厩舎サイドはもともとラクティの心肺機能の強さとスタミナでは相当自信をもっていました。「相手は揃っているけど、うちのも相当いいよ。パワーアップしている。」と梅田師はかなり自信ありげな口ぶりでしたよ。楽しみ!
ブリュネット
先週のフローラSでオークスへの出走権を手にしたブリュネット。前半の1000メートルが63秒で流れるペースにも関わらず、後ろからよく追いつきましたね。
「返し馬からずいぶんと気合が乗っていたね。ペースは遅かったけれど、道中でジョッキーがじっくりとためていたのがよかったですね。」と千田師。ただ、ちょっと落ち着きがないのが気になります。馬房でも近くに人が寄るとすごく気にするみたいで、顔をブンブンと振り回すんです。「ちょっと前向き過ぎるところもあるから、それがいいほうに出るといいね」(千田師)。ちなみにオークスの鞍上は未定です。