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3/4姉にブロードストリートを持つディープ産駒ドラゴンストリート

  • 2013年06月26日(水) 12時00分
●エイシンエルヴィン(牡 栗東・中尾秀正 父Shamardal、母La Ina)
 母La Inaは現役時代、独1000ギニー(G2)と独オークス(G2)でいずれも2着という成績がある。独リーディングサイアーに6回輝いた大種牡馬Surumuを3×4でクロスさせたドイツ産馬で、現代の主流血統をほとんど含んでいないので繁殖牝馬として楽しみが大きい。父Shamardalは仏2000ギニー(G1)、仏ダービー(G1)を制した名馬で、名種牡馬Street Cry(Zenyatta、Street Senceなどの父)の全姉を母に持つという血統も魅力的。種牡馬としてはLope de Vega(10年仏2000ギニー-G1、10年仏ダービー-G1)、Sagawara(12年サンタラリ賞-仏G1)、Dan Excel(13年チャンピオンズマイル-香G1)などを送り出し、上々の成績を挙げている。ちなみに馬主の栄進堂はStorm Cat系の良馬を発掘して育てるのが上手い。これまでにもエーシンフォワード、エーシントップ、エーシンジーラインなどを所有している。非主流血脈の母に主流血脈の父、という組み合わせはバランスがよく、芝適性にも問題はない。中距離向きで仕上がりは早く、先に行って粘るタイプとなりそう。道悪は上手いはず。

●エイシンキサナドゥ(牡 栗東・野中賢二 父Distorted Humor、母River's Prayer)
 母River's Prayerは現役時代にアメリカで走り、プリンセスルーニーH(米G1・ダ6f)など3つの重賞を制した名牝。父Distorted Humorは競走馬としてはさほど目立つ存在ではなかったが、種牡馬として成功し、Drosselmeyer(11年ブリーダーズCクラシック-米G1)、ファニーサイド(03年ケンタッキーダービー-米G1、03年プリークネスS-米G1)、本邦輸入種牡馬フォーティナイナーズサンなどを出している。11年には米リーディングサイアーに輝いた。日本で走った産駒はダート向きが多い。おそらく本馬もダート向きと思われるが、栄進軍団のマル外はダート向きに思える配合でも芝で走ってくるケースが多いので、安易に決めつけないほうがいいかもしれない。いずれにしてもスピードタイプであることに間違いはなく、マイル以下で実績を残し、仕上がりも早いだろう。

●シャドウダンサー(牡 栗東・角居勝彦 父ホワイトマズル、母ダンスインザムード)
 母ダンスインザムードは桜花賞(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)の勝ち馬で、ダンスパートナー(95年オークス-GI、96年エリザベス女王杯-GI)、ダンスインザダーク(96年菊花賞-GI)の全妹にあたる超良血。初子のダンスファンタジアはフェアリーS(GIII)を制しており、繁殖牝馬としても非凡なところを示している。本馬の父はホワイトマズル。その父ダンシングブレーヴはサンデーサイレンスと相性がよく、「ホワイトマズル×サンデーサイレンス」の組み合わせからはシルポート、シャドウゲイト、アサクサキングス、シンゲンなど多くの活躍馬が誕生している。気性的に難しいところが出なければ重賞クラスまで期待できる。

●ドラゴンストリート(牡 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母フィラストリート)
 ブロードストリート(父アグネスタキオン/09年ローズS-GII)、フィニステール(父ダンスインザダーク/07年青葉賞-GII・3着)、ストリートスタイル(父アドマイヤベガ/10年北九州記念-GIII・4着)、ポップジュエル(父サンデーサイレンス/OP)の4分の3弟にあたる良血。母フィラストリートは切れ味を伝えるCozzeneの子で、Grey Sovereign 4×4。ここに瞬発力の源泉がありそうだ。サンデー系との組み合わせではしっかり結果を出しており、サンデー系の真打ともいえるディープインパクトを父に持つ本馬には当然期待が掛かる。「ディープ×Cozzene」の組み合わせからは、新馬戦を楽勝して2戦目の毎日杯(GIII)で5着となったコメットシーカーが出ている。Lyphard クロス(4×3)はディープ産駒の最もポピュラーなニックスのひとつ。ディープ産駒らしい切れ味で勝負する芝向きの中距離タイプだろう。

●ラヴィーネ(牝 栗東・安田隆行 父ゼンノロブロイ、母レディイン)
 全姉イチオクノホシは阪神牝馬S(GII)2着、クイーンC(GIII)2着。ゼンノロブロイ産駒にしては珍しくカミソリのような切れ味を持った馬で、後ろから行く馬だけに展開に左右されるところがあり、まだ重賞を勝ったことはないが、そのうち手が届くだろう。ゼンノロブロイはややアメリカ血統が強いので、しっかりとしたヨーロッパ血統を入れるのがセオリー。本馬にはKendor、Irish Riverといった柔らかなフランス血統が入るので好ましく、とくにIrish Riverの父Rivermanとは相性抜群。このパターンからトレイルブレイザー、ルルーシュ、アグネスワルツ、ゲームマエストロ、ミニーバローズといった活躍馬が出ている。本馬はKenmareを併せ持っているのでルルーシュに似ている。全姉イチオクノホシと同様に1400〜1600mあたりで実績を残すはず。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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