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トーセンジョーダンの3/4同血カラジャス

  • 2013年08月14日(水) 12時00分
●アバンダンティア(牝 栗東・牧田和弥 父ハーツクライ、母エラティス)
 本馬は母エラティスが21歳時に産んだ子だが、アルナスライン(父アドマイヤベガ/09年日経賞-GII)を筆頭に、ツルマルグラマー(父フジキセキ/01年ファンタジーS-GIII・2着)、サパテアード(父フジキセキ/準OP)、オーヴァージョイド(父ステイゴールド/準OP)など、兄姉はコンスタントに走っており、まだまだ行けるのではないかと期待を抱かせる。本馬はこれらの4分の3同血。父ハーツクライはウインバリアシオン、アドマイヤラクティ、ギュスターヴクライ、ジャスタウェイ、カポーティスター、メイショウナルトなどの父で、とくに中長距離における強さに定評がある。05年以降、芝2400m戦で50走以上した種牡馬のなかで、ハーツクライは連対率29.9%(8月11日終了時点)とトップ。本馬は2代母に重厚なGraustarkを抱えており、おそらくスタミナに関して優れたものを表現するだろう。牝馬なので2000〜2500mあたりが良さそうだ。

●エアシュノンソー(牝 栗東・吉村圭司 父シンボリクリスエス、母エアパスカル)
 母エアパスカルはチューリップ賞(GIII)の勝ち馬。3歳春にキラリと光り、その後は低迷を続けた早熟タイプだったが、半弟にカルドブレッサ(OP)、伯父にブラックタキシード(99年セントライト記念-GII)がいるファミリーはポテンシャルが高い。本馬の父はシンボリクリスエス。これまでにストロングリターン、サクセスブロッケン、エピファネイア、サンカルロ、ダノンカモン、ランフォルセといった一流馬を送り出している。「シンボリクリスエス×ウォーエンブレム」という組み合わせはまだ1頭も出走していないが、芝でもダートでも走れる配合だろう。牝馬だけに芝適性が上回るかもしれない。距離はマイル前後が合っている。

●カフェテキーラ(牡 美浦・松山康久 父マンハッタンカフェ、母カフェララルー)
 3代母T.C.Kittenは最近よく目にする。青葉賞(GII)を勝ったヒラボクディープ、ヒヤシンスS(OP)を勝ったチャーリーブレイヴはこのファミリーの出身で、フィリーズレビュー(GII)3着のティズトレメンダスはT.C.Kitten 5×4。本馬の母カフェララルーはこれまで浮気することなく一貫してマンハッタンカフェと交配しており、カフェマーシャル(準OP)、カフェシュプリーム(準OP)、カフェリュウジン(1000万下)と良駒を連発している。母方にBlushing Groomを持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、ヒルノダムール、ヤマニンウイスカー、メイショウクオリア、メイショウレガーロ、ベストメンバー、サンディエゴシチー、ココナッツパンチ、オリエンタルロックなどの活躍馬が出ている。全兄の傾向から考えてダート短距離で本領を発揮するだろう。

●カラジャス(牡 美浦・国枝栄 父ジャングルポケット、母ケアレスウィスパー)
 母ケアレスウィスパーは関東オークス(GII)2着馬で、追い込みを武器にダート1700m以上で良績を残した。セールスポイントはその良血。トーセンジョーダン(11年天皇賞・秋-GIなど重賞4勝)、ダークメッセージ(08年日経新春杯-GII・2着)、トーセンホマレボシ(12年京都新聞杯-GII、12年日本ダービー-GI・3着)を兄弟に持ち、近親にはカンパニー、バトルバニヤン、ニューベリー、レニングラード、スパイキュール、ヒストリカルなど活躍馬多数。しかも、このファミリーはトニービン系の父と好相性を示している、という特長がある。トーセンジョーダン、カンパニー、バトルバニヤン、レニングラードはこのパターンに当てはまる。本馬の父はトニービンの息子ジャングルポケット。つまり、トーセンジョーダンとは4分の3同血の関係にある。芝向きのスピードが備わっているようなら楽しみが大きい。距離は3000m級でもOK。

●ロココ(牝 美浦・武藤善則 父コマンズ、母ハギノルチェーレ)
 母ハギノルチェーレ(父ダンスインザダーク)はフィリーズレビュー(GII)3着、ファンタジーS(GIII)4着という成績がある。父コマンズはDanewin(現役時代に豪G1を5勝し種牡馬としても成功)の全弟で、オーストラリアの歴史的名馬Octagonalの甥でもある良血。現役時代はG3を勝った程度だったが、種牡馬としては兄Danewinを上回り、04-05年のシーズンから豪種牡馬ランキングベスト10を外したことがない。09-10年のシーズンからはベスト5以内に定着し、直近の12-13年のシーズンは3位だった。日本における初年度産駒は好調な出足をみせており、現在7頭が出走して3頭が勝ち上がっている。時計勝負に対応できるので短距離でかなりの活躍が見込める。本馬はHis Majesty=Graustark 4×5・6という重厚なクロスを持つので、ダート向きに出る可能性もある。いずれにしてもマイル以下が守備範囲だろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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