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バーチドレンは馬場傾向を変えるか?

  • 2013年09月06日(金) 18時00分
 昨年はドル箱コースだった新潟芝1400m。このコースで今年の夏もボロ儲けする目論見を立てていたのですが、8月の中盤以降は勝負レースに1つしか選びませんでした。(その1つのレースも昨年とは全く違うアプローチで本命馬を選びました。5人気で3着という微妙な結果でしたが)
今年の新潟芝は、特に内回りコースは昨年とは明らかに違う傾向を見せていたからです。

 新潟芝1400mに大きな違和感を覚えたのは、ディープインパクト産駒の走りです。

 昨年の新潟芝1400mでは、ディープインパクト産駒が未勝利。1人気で出走した3頭もすべて連対をハズしていました。日本の象徴ともいえる最高峰の種牡馬が次々と消える「反主流」の傾向こそが、新潟芝1400mの典型的な傾向だったのです。

 ところが、先週の新潟芝1400mはディープインパクト産駒が2頭出走していずれも1着。

 日本の競馬としては本来あるべき姿なのかもしれませんが、昨年の新潟芝1400mとは「全く異なる」表情です。

 この不吉な違和感を確信に変える証拠を示してくれたのが、競馬ブックで馬場のルポを執筆されている小島友実さんです。

 小島さんの調査によると、今年の新潟芝はバーチドレンという機材を使い、路盤をあえて柔らかくしていたのこと。つまり、昨年のようなカタイ馬場で、徹底的にスピードの持続性を競うような作りにしていなかったのです。

 ここからはボクの推測ですが、「柔らかい馬場作り」をあえて作ったのは、魔法の芝、エクイターフの導入に加え、新潟開催が少なくなったことも関連性があるはずです。

 エクイターフは、従来の芝と比べると、ダメージに強く、開催が進んでも高速馬場を維持できる特徴も持ち合わせます。小倉の芝が最後まで時計が出るようになったのも、エクイターフを導入したからです。

 バーチドレンは、路盤に穴を掘る機材。いわば、新品の路盤にあえてダメージ加工を施すようなものです。新潟は、開催が少ないことに加え、丈夫なエクイターフを使っているために、最後まで良好なコンディションを保つことができる自信があったからこそ、意図的に柔らかい馬場を作ったのでしょう。

 なお、同じようにエクイターフを使っている小倉の芝は、新潟のような柔らかい馬場作りはしなかったようです。新潟芝よりも開催が多いことと、天候のリスクが新潟よりも高いことも考慮されたのでしょうか(担当者の気分次第なのかもしれませんが)

 このように、現在のJRAは、「馬場を速くする(固くする)」という調整方法に加え「馬場を柔らかくする」という手法も取り入れ始めている事実は、馬場を読む材料のひとつに加えるべきでしょう。

 そして、これから始まる中山芝も、バーチドレンを入れ、夏の新潟のような路盤の柔らかさを目指した模様。つまり、例年の開幕週とは傾向が変わる可能性も注意は払いたいところ。なお阪神芝は従来通りの調整のようです。

 とはいえ、天候も芝も生き物ですから、厳密に言えばまったく同じ現象がないのも事実。「木を見て森を見ず」は予想において、スランプを招く危険な思考回路です。(新潟芝の異変も、バーチドレンの情報を知らずとも、ディープ産駒をはじめとする種牡馬の傾向からでも十分読めていたわけですから)

 そもそもバーチドレンは、その性質上、100%馬場をコントロールできるものではありません。バーチドレン、エクイターフの細かい特性を気にし過ぎることは、趣味の園芸の世界に没頭することになってしまいます。

 重要なのはあくまでも、競走馬の走りと血統を見て「馬券につながる明確な傾向」を端的につかむことでしょう。

 京成杯AHは、エクイターフの前から中山マイルに強かった(つまり細かい芝や路盤を問わず中山マイルに強い)ダイワメジャー、ローエングリン産駒のエクセラントカーヴ、ゴットフリート。ローエングリンが中山巧者となる源の血であるシングスピール系のワイズリーに注目です。

 シングスピールもダイワメジャーも馬場を問わずに中山では強かったのですから、バーチドレンやエクイターフ云々の影響を受けない中山マイル巧者です。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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