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マル外は東西格差が小さい(須田鷹雄)

  • 2013年12月17日(火) 18時00分


◆この機会に書いておきたいひとつ気づいたこと

 朝日杯FSでアジアエクスプレスが優勝した。

 同馬はOBSマーチセール出身(23万ドル)。恥ずかしながら、赤本のトレーニングセールページでは全くこの馬を強調することはできなかった。ノーザンファーム系マル外2歳セールの成功パターンであることは分かっていたが、見た目と血統でダートの短距離馬と決めつけてしまっていたというのが正直なところである。

 もともとマル外好き・海外トレーニングセール好きで、もっとマル外買いましょう・指名しましょう的なことを書いておきながら大当たり馬を見逃すとは恥ずかしい限りだが、この馬をきっかけにひとつ気づいたことがあるので、この機会に書いておきたい。

 それは、マル外については関東・関西の格差が小さいということだ。

 説明の必要もないほど、いまの競馬界は西高東低である。現2世代+過去5世代ということで現7世代までを対象とすると、POG期間の成績は

区分   勝率 複勝率 1走当たり賞金 1頭あたり賞金
 美浦   6.1% 19.1%  81万円    352万円
 栗東   7.9% 22.8% 110万円    497万円

 で、1走あたり賞金は1:1.358、1頭あたり賞金は1:1.412の比率となっている。良血馬が関西に入る割合が高いのだから、当然といえば当然だ。

 ところが、これをマル外に限定すると、

区分   勝率 複勝率 1走当たり賞金 1頭あたり賞金
 美浦  11.9% 31.9% 142万円    569万円
 栗東  11.7% 33.1% 152万円    661万円

 で差はほとんど無くなり、勝率では僅かながら逆転している。1走あたり賞金は1:1.070、1頭あたり賞金は1:1.162。

 なぜこのようなことになるか。理由を推測するとしたら、その1つは馬房の空き具合だ。トップクラスの厩舎ほど、その世代が当歳のうちから馬房が埋まっていく。1歳夏となればなおさらだ。

 キーンランドジュライがだいぶ前に無くなりマル外の仕入れが1歳8〜9月以降にシフトしている現状、セレクトセール1歳セッションが先に来るのでその段階である程度馬房は押さえられていく。もちろんマル外を毎年買うことが前提の馬主ならば馬は未定で馬房だけキープしている状況もあるだろうが、そうでないと買ってから「空きがある中で、いい厩舎」という話になってくる。

 上記の集計は自家生産馬や庭先も含めた全マル外だが、2歳セール組となるとさらに馬房はタイトになっている。その時点で同じクオリティの厩舎なら関西よりは関東のほうがまだ空きはあるだろうから、取引タイミングが後であるほど、POG的には「関東馬に妙味あり」ということになりうる。

 ちなみに、マル外のPOG期間内中央G1優勝はゴスホークケン以来だが、同馬もOBSセール出身で関東馬であった。

 もちろん重要なのは東か西かではなく「空いているのに厩舎のクオリティが高い」ことなので、スーニ(吉田直弘厩舎)、テスタマッタ(村山明厩舎)のように、牧場・馬主との繋がりが強固な関西若手厩舎への入厩も良いパターンだと言える。

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