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ついに登場、ウオッカの息子ボラーレ

  • 2014年01月15日(水) 12時00分


エイシンフランキー(牡 栗東・西園正都 父クロフネ、母マサコチャン)
 全姉ベストクルーズはファンタジーS(GIII)2着、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)3着などの成績がある。同牝系で同じ父を持つ馬にはホエールキャプチャ(12年ヴィクトリアマイル-GIを含めて重賞4勝)、シゲルスダチ(12年北九州記念-GIII・2着)などがいる。「クロフネ・サンデーサイレンス・チヨダマサコ」を組み合わせるとBlue Moon=Blue Grotto≒Banish Fearというクロスが生じる。これがニックスの核心だろう。配合的な裏付けがあるので姉同様の活躍が期待できる。芝向きのマイラーで仕上がりは早い。

キネオソレイユ(牝 栗東・清水久詞 父ネオユニヴァース、母バイザキャット)
 4分の3姉アユサンは桜花賞の勝ち馬。セレクトセールで落札されたのは11年夏で、アユサンはまだデビューしていなかったため1250万円(税抜)という安さだった。母バイザキャットは「Storm Cat×Affirmed」という組み合わせで、これはゴスホークケンの父Bernstein、ショウナンマイティの母ラグジャリーと同じ。“サンデーサイレンス、Storm Cat、Affirmed”のトライアングルを持つ馬は意外なほど走っており、アユサンとショウナンマイティのほか、アルキメデス、エンリル、アストロロジーなどがいる。姉と同じく芝向きのマイラーだろう。

ゴルゴネイオン(牡 栗東・安田隆行 父フジキセキ、母デビルズコーナー)
 母の父Songandaprayerは現役時代にファウンテンオブユースS(米G1・ダ8.5f)を勝ち、種牡馬としては仕上がり早のスピードタイプを量産して成功している。日本ではサープラスシンガー(07年函館スプリントC-GIII・2着)が代表産駒。本馬はその影響を受けているので、ファイングレイン、キンシャサノキセキ、アルティマトゥーレのような芝向きのスプリンターになりそうだ。ミルレーサー≒Gana Facil 2×5という組み合わせのクロスは実績があり、UnbridledとDevil's Bagを併せ持つフジキセキ産駒は、ロードクルセイダー、キンシノキセキと外れなく走っている。スピードがあり確実性が高いのでPOG向きだ。

ステイバンク(牝 美浦・柴田政人 父ステイゴールド、母ヒカルラフィーネ)
 「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせはJRAでわずか8頭しか出走していないものの、周知のとおりオルフェーヴル、ドリームジャーニー、ゴールドシップ、フェイトフルウォーなどの大物が続出している。本馬は、現3歳世代でこのニックスを持つわずか2頭のうちの1頭。これまで「ステゴ×マック」で重賞を勝った4頭はいずれも牡馬で、本馬は牝馬ではあるが、前記の4頭と同じくNorthern Dancerクロスを持っている。母ヒカルラフィーネは現役時代、スピードに弱点があり、重い馬場を得意とするフラガラッハのイトコでもある。こうした鈍重な部分が表に出なければ楽しめそうだ。芝向きの中長距離タイプ。

ビーイノベイティブ(牡 栗東・藤原英昭 父クロフネ、母ビーポジティブ)
 トリップ(12年ジャパンダートダービー-Jpn1・2着、12年弥生賞-GII・2着)の全弟にあたる。母ビーポジティブはトゥザヴィクトリー(01年エリザベス女王杯-GIなど重賞4勝)、サイレントディール(03年武蔵野S-GIII、07年佐賀記念-Jpn3)の全きょうだいにあたる良血で、現役時代にクイーン賞(GIII)を勝った。父がクロフネで、母がトゥザヴィクトリーとサイレントディールの全きょうだい、という配合はバトードール(10年ユニコーンS-GIII・2着)と同じ。高確率で走ってくるであろう良血馬だ。

ボラーレ(牡 栗東・角居勝彦 父Sea the Stars、母ウオッカ)
 日本ダービー(GI)、ジャパンC(GI)、天皇賞・秋(GI)など7つのG1を制した女傑ウオッカの待望の初子。引退後はアイルランドへ渡り、三度目の交配でやっと受胎するなど苦労も多かったが、生まれた子はすくすくと成長し、現在の馬体重は600kgを超えているという話もある。父Sea the Starsは大種牡馬Galileoの半弟で、現役時代に凱旋門賞、英ダービー、英2000ギニーなど6つのG1を制した名馬。種牡馬としても大きな期待を掛けられているが、現3歳の初年度産駒は全欧ファーストシーズンサイアーランキングで11位と出遅れている。アイルランドのC.L.ウェルドパークS(愛G3・芝7f)を勝ったMy Titaniaや、日本でもエイシンアロンジーが新馬戦で強い勝ち方をしており、3歳シーズンではもう少し巻き返してくるのではないかと思う。母ウオッカはNorthern DancerもMr.Prospectorも持たないだけに、双方を抱えたSea the Starsは悪くない。ただ、欧州では華々しい成功を収める父の半兄Galileoも日本においてはほとんど実績がなく、Danzigの流れをくむCape Crossの系統も同様だ。要するに父Sea the Starsは日本向きの素軽さという点で懸念がある。このあたりを母ウオッカのスピードでカバーできれば大物に育っても不思議はない。馬体が大きくパワフルなのでダートは得意だろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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