■皐月賞(G1・中山芝2000m)フルゲート18頭/登録19頭
【コース基本情報】中山芝2000m Bコース使用
・コース回収率
[低い] 単56%・複勝69% ふたケタ人気馬の大不振で回収率は超低空飛行
・馬連万馬券出現率
[標準] 12.5%(平均値↑0.1% 馬連平均配当5651円)
・枠番別成績(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
[1枠〜3枠] 勝率 5.3% 連対率11.8% 複勝率17.3% 複回率 44% 枠番値-0.1
[4枠〜6枠] 勝率 7.0% 連対率13.3% 複勝率20.8% 複回率 71% 枠番値+0.1
[7枠〜8枠] 勝率 5.5% 連対率10.3% 複勝率15.0% 複回率 60% 枠番値+0.1
→外枠の数値がやや低めも枠番値に差はほぼナシ。意外に有利不利がない。
・脚質別信頼度
先行≧差し>>追込>>逃げ 逃げ切るのはイメージ以上に難しいコース
・推定ラップ&タイム
[持続]35.8-50.3-35.4=2.01.5 中盤で緩まず上がりもソコソコ速い持久戦
まず驚いてしまうのが、当コース全体の尋常ならざる回収率の低さ。中山の芝というだけで荒れそうな印象を受けるが、実際には人気薄がまったく走っておらず、当然ながら回収率も低め。10番人気以下馬はトータル[2-8-10-388]で勝率0.2%、連対率1.5%、複勝率3.2%と、不振にあえいでいる。
また、枠番別成績で内外に差が見られないというのも、いわゆる「中山芝」のイメージを裏切るもの。最も好成績なのが中枠で、次いで内枠、外枠といった順番ではあるのだが、枠番値にほとんど差が出ていないことから「外枠不利」とはとても言えない。ほんの少し評価を割り引く程度が、外枠の適切な扱いと思われる。
さらに、逃げ切りが至難というのも、イメージからはかけ離れた結果。もちろん、下級条件では当たり前のように逃げ切れるのだが、どうやらクラスが上がるごとに、難しさが加速度的に増していくようだ。だからといって追い込みが決まるわけでもなく、ここは先行脚質と差し脚質が圧倒的優勢。前すぎても後ろすぎてもダメなのだ。
流れは、序盤から終盤まで一貫して緩まず、適度に速いラップが継続的に刻まれるという、持久力を問われるもの。これまでのレースで、速い流れに対する適性や底力を見せているかどうかを、必ずチェックしておきたい。
【レース基本情報】皐月賞(G1) 中山過去10年
・レース平均配当
単勝1129円 馬連2321円 3連複4万940円
・1番人気馬成績
[3-1-1-4] 勝率33.3% 連対率44.4% 複勝率55.6%
・3番人気以内馬成績
[4-3-6-14] 勝率14.8% 連対率25.9% 複勝率48.1%
・4番人気〜9番人気馬成績
[4-3-2-45] 勝率 7.4% 連対率13.0% 複勝率16.7%
・10番人気以下馬成績
[1-3-1-76] 勝率 1.2% 連対率 4.9% 複勝率 6.2%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 22.2% [先行] 22.2% [差し] 55.6% [追込] 0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 11.1% [先行] 18.5% [差し] 55.6% [追込] 14.8%
・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
[1枠〜3枠] 2-3-3-46 連対率 9.3% 複勝率14.8% 枠番値-0.6
[4枠〜6枠] 1-3-4-46 連対率 7.4% 複勝率14.8% 枠番値+0.5
[7枠〜8枠] 6-3-2-43 連対率16.7% 複勝率20.4% 枠番値+0.3
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[01番〜09番] 3-5-5-68 連対率 9.9% 複勝率16.0% 枠番値-0.5
[10番〜18番] 6-4-4-67 連対率12.3% 複勝率17.3% 枠番値+0.5
・厩舎所属別成績
[美浦] 2-2-2-51 連対率 7.0% 複勝率10.5%
[栗東] 7-6-7-84 連対率12.5% 複勝率19.2%
・前走距離別成績
[芝1600↓] 0-0-0-11 連対率 0% 複勝率 0%
[芝1800m] 5-2-2-64 連対率 9.6% 複勝率12.3%
[芝2000m] 4-7-7-51 連対率15.9% 複勝率26.1%
[芝2200m] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
[芝2400m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
[ダート戦] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
・前走レース別成績
[スプリング] 4-2-1-44 連対率11.8% 複勝率13.7%
[弥 生 賞] 3-3-5-29 連対率15.0% 複勝率27.5%
[若 葉 S] 1-4-1-16 連対率22.7% 複勝率27.3%
[共同通信杯] 1-0-1-4 連対率16.7% 複勝率33.3%
[京 成 杯] 0-0-1-2 連対率 0% 複勝率33.3%
[毎 日 杯] 0-0-0-13 連対率 0% 複勝率 0%
[上記以外R] 0-0-0-23 連対率 0% 複勝率 0%
・注目出走パターン
[必要条件] 前走4番人気以内かつ4着以内(7-7-8-58)
[必要条件] 前走で1800m〜2000m戦に出走(9-9-9-119)
[注目] 前走での4角通過順位が2番手〜4番手(複勝率25.4%)
[全滅] 前走5番人気以下かつ5着以下(0-0-0-22)
[不振] 前走スプリングSで4着以下(0-1-0-26)
[不振] 前走弥生賞で5着以下(0-0-1-9)
単勝平均配当は1129円とソコソコの水準にあるが、馬連平均配当は2321円と非常に低い皐月賞。中山競馬場で行われた過去4回は連続で単勝3ケタ配当と、順当決着傾向が強まってきている印象を受ける。とはいえ、そこまで人気サイドが強いレースではなく、穴馬の好走例も多数。中波乱あたりを狙っていくのが、いちばん効率がよさそうだ。
目立っているのが差し脚質の強さで、馬券に絡んだ馬の7割以上が差し・追い込み脚質。序盤〜中盤のペースが速いため、前が崩れての台頭が自然と多くなる。また、枠番別成績における外枠の強さもかなりのもの。7枠〜8枠はトータル[6-3-2-43]で複勝率20.4%と、頭ひとつ高い好走率をマークしている。
距離別成績と前走レース別成績からわかるのが、「トライアル未出走馬では勝ち負けできないレース」であるということ。共同通信杯や京成杯からのローテで好走した馬もいるにはいるが、トライアル組と比較すると、その成績はやはり見劣るもの。あとは、過去10年で馬券に絡んだ27頭がすべて、前走1800m〜2000m戦組であるのも、絶対に忘れてはならないポイントである。
出走パターンでは、3番目にあげた「前走での4角通過順位が2番手〜4番手」という項目が、なかなか面白い。前走でハナに行っていた馬はイマイチな結果に終わっているのだが、好位から競馬していた馬は非常に強く、回収率は単複ともに100%以上。つまり、人気薄でも積極的に買う価値アリなのだ。登録馬でこの条件をクリアするのは、アデイインザライフ、イスラボニータ、ウインフルブルーム、コウエイワンマン、トゥザワールド、バウンスシャッセ、ロサギガンティアの7頭だ。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
引き続きBコース。外からの差しが届く状況で、時計もけっこう速い。
・天候予測
日曜日まで降水確率は低めで、降ったとしても少量。良馬場前提で。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率13.3% 連対率24.2% 複勝率38.3%
・著者の注目血統
ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○、キングカメハメハ産駒△
先週の桜花賞に続き、こちらも差しが決まりそうな馬場コンディション。そこまで馬場が軽いわけではないのだが、このところの中山のなかでは「比較的」軽い状況となってきている印象を受ける。降雨予報も出ていないことから、先週同様にパンパンの良馬場でのレースとなる確率が高め。これも、差し優勢を助長しそうだ。
そして血統面だが、ここではディープ&ハーツの「キレ型」コンビが絶好調。地味にメイショウサムソン産駒も強かったりするのだが、こちらは残念ながら登録がない。それに次ぐのがキングカメハメハ産駒やジャングルポケット産駒、スペシャルウィーク産駒など。成績上位種牡馬のラインナップから、「多少パワーもありそうなキレ型の配合」が最も高い適性を持つと考えられる。
★総論×各論
桜花賞もそうだったが、ひと冬を越しても勢力図に大きな変化が見られない、現3歳世代。実績馬が前哨戦でもキッチリ結果を出しているのだが、その前哨戦が分散したことで、直接対決をあまり挟まずに本番を迎えるという非常に興味深い図式となっている。プレイアンドリアルとバンドワゴンの姿がないのが残念だが、馬券的には桜花賞よりも断然、こちらのほうが面白そうだ。
さて、皐月賞が「トライアル未出走馬では容易に勝ち負けできないレース」であるのは、前述したとおり。弥生賞・スプリングS・若葉Sの3レースを経由している馬のほうが高信頼度であるのは、データにもクッキリあらわれている。つまり、イスラボニータとトーセンスターダムの2頭は、この点でやや分が悪いということである。
当データ分析でトップ評価とするのは、弥生賞を制したトゥザワールド。トライアル組で「前走4角通過順位が2番手〜4番手」、さらにキンカメ×サンデーという血統や絶好調の鞍上など、プラス評価となった項目の多さと死角のなさが目立っている。人気サイドでは、アタマひとつ抜けた信頼度の高さと言えるだろう。
問題は以下で、ここから先は(データ的に)ハナ差の大接戦。弥生賞2着のワンアンドオンリーが二番手評価で、三番手にイスラボニータ。四番手アジアエクスプレス、五番手ロサギガンティアと続くが、展開ひとつで簡単にひっくり返りそうだ。トーセンスターダムは、その素質の高さは認めつつも、ローテに実績、中山初出走であること、実績に対してやや過剰人気になりそうな点などから、評価を落としている。
以下は、格下ながら堅実無比のクラリティシチーに、脚質面で大きな進境を見せたアデイインザライフ、怖い「若葉S組」であるアドマイヤデウスとウインフルブルームといった評価順。おおむね順当ではあるのだが、ここはオッズが割れるだろうし、上位人気の組み合わせでも意外に美味しい配当にありつけるかもしれない。
■アンタレスS(G3・阪神ダ1800m) フルゲート16頭/登録48頭
阪神ダ1800mに舞台が移って、今年で3年目となるアンタレスS。ダイオライト記念からのローテで出走するニホンピロアワーズに、すばらしい内容で仁川Sを圧勝してきたナムラビクター、ダート重賞連勝を狙うソロルなど、ハイレベルな登録メンバーとなった。ダノンバラードやミッキードリームなど、ダート重賞初挑戦のクチが登録してきているのも面白い。
まず言えるのが、京都で開催されていた時期よりもさらに、先行勢優勢となっていること。人気どおりの決着となった昨年も前々での決着で、一昨年には逃げたアイファーソングが、11番人気で2着に激走。ベストウォーリアやグランドシチーのように脚をタメるタイプよりも、トウショウフリークのようにガンガン行く馬のほうが狙いやすい。
また、前走2着〜5着や前走2番〜5番人気といった「前走ソコソコ人気&ソコソコ着順組」が妙に弱いのも、一応は意識しておきたいところ。過去2年のデータでモノを語る時点でアレな話ではあるが、このレースを制しているゴルトブリッツ、ホッコータルマエはいずれも「前走1番人気1着馬」だった。
となると、最もアテにできるのはナムラビクター。阪神ダート1800mはこの馬にとって最適条件で、ニホンピロアワーズとの斤量差2キロはかなり効きそうだ。あとはエアハリファも、積極的に買う価値アリと見る。
※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。