シュタルケ騎手をゲストに迎えたスペシャル対談最終回。勝負どころでは、声を出して自分の居場所をアピールするというジョッキーたちですが、はたして外国人ジョッキーは何て叫ぶ!? そんな素朴な話題から、外国人ジョッキーの通年免許制度について、さらには今後の夢やポリシーまで、川須騎手と高倉騎手がシュタルケ騎手の胸の内に迫ります!
(取材・文/不破由妃子)
■ヨーロッパでは絶対に進路を開けたりはしないよ── 一緒にレースに乗るなかで、外国人ジョッキーやリーディング上位ジョッキーからいろいろと学んでいるということでしたが、レース中のお話になったところで、外国人ジョッキーもレース中に、声を出したり叫んだりするんですか?
高倉 バルジューだったかな、普通に相手の名前を叫んでいるのを聞いたことがありますよ(笑)。
川須 あとは、日本語でいう「おーい!」みたいな感じですよね。あ、あと口笛を吹く人がいる!
高倉 スミヨン!
川須 そうそう! 後ろのほうから口笛が聞こえて、“なんだ?”と思った瞬間、スミヨンが僕の横をシューッと上がっていった(笑)。
シュタルケ 僕はあまり声は出さないほうだね。本当に危ないときは叫ぶこともあるけど、声を出すことで逆に締められることもあるから。日本の場合、ケースバイケースだとは思うけど、先輩に「どけ!」って言われたら道を開けることがあるでしょう。
川須 自分の馬に脚があるときは、道を開けたりはしませんよ。自分の馬の脚がなくなっている場合、邪魔をしないためによけることはありますけど。
高倉 僕もアンドレと同じで、危ないときしか声は出しませんね。たとえば、前にいる馬の手応えが明らかに悪くて、内ラチから中途半端に間隔を空けて走っていたとする。そのときに、僕の馬に手応えがあれば内を抜けられるので、たとえば右回りで、前のそのジョッキーが左ステッキを打って追っていたら、「います!」って声を出して自分の存在をアピールします。そうすれば、それ以上ギューッと内に入ってくることはまずはないので。
![高倉](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/young_jockey/140430_04.jpg)
高倉「僕もアンドレと同じで、危ないときしか声は出しませんね」
川須 うんうん、僕も「いまーす!」って叫ぶことが多い。僕、叫ぶの上手ですよ(笑)。まぁ、自分が言う側でも言われる側でも、道を開ける必要が絶対にあるかといえば、そんなことはないんですけどね。ただ、さっきも言ったように、自分の馬に脚がない場合、邪魔になってしまう可能性もあるから、そのあたりはお互いさまというか。
高倉 相手にも脚がある場合は、いくら「います!」ってアピールしても無駄ですけどね(笑)。
シュタルケ なるほどね。まぁヨーロッパでは絶対に進路を開けたりはしないけどね。
──ところで、川須騎手と高倉騎手は、そういう場面でも言葉遣いは丁寧なんですね。
川須 そりゃあ、まだまだ周りは先輩ばかりですから…。
高倉 たまに、後輩と気付かずに「います!」とか言っちゃうと、ちょっとだけ損した気分になるけど(笑)。
──さて、JRAでは外国人ジョッキーの通年免許制度が始まりましたが、今年は昨年も受験したミルコ・デムーロ騎手に加え、ルメール騎手も受験する見込みだそうです。シュタルケ騎手は、JRAの通年免許制度に興味はありますか?
シュタルケ クリストフも!? ワオッ! 外国人騎手が誰かひとりでも試験を通れば、ひょっとしたら自分も興味が湧くかもしれないけど…まずは日本語を覚えなければいけないからね。その点、ミルコは日本語が上手だし、日本が本当に好きで、気質も合うんだろうね。すでに友達もたくさんいるし、すごくいい選択だと思うよ。あと、日本は賞金も高いけど、そのぶん税金も高いからなぁ(笑)。
川須 脅威ですね〜。ミルコが受かったら、絶対に所属は関西だろうし。リーディング、獲るんじゃないかな。
高倉 アンドレは、この先のビジョンというか、夢はありますか?
シュタルケ 目の前のことでいえば、日本にいる間にできるだけたくさんのレースを勝ちたいと思ってるよ。もちろん、安全な騎乗でね。凱旋門賞(2011年デインドリーム)もキングジョージ(2012年デインドリーム)も勝つことができたから、それ以上のレースとなるとなかなか難しいけど、ジャパンCは勝ってみたいと思うね。とにかく、僕のポリシーは、楽しみながら安全に乗ること。家族もいるし、今まで十分頑張ってきた自負もあるので、これからはとにかく無事であることが大事だと思ってる。
![シュタルケ](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/young_jockey/140430_02.jpg)
シュタルケ「凱旋門賞、キングジョージ以上のレースとなるとなかなか難しいけど、ジャパンCは勝ってみたいと思うね」
川須 一緒にレースに乗るなかで、いろいろとアドバイスをいただけたらうれしいです。本当になんでもいいので、気づいたことがあればご指導ください!
シュタルケ もちろん!
川須 あの〜、アドバイス料は無料でひとつ(笑)。
![川須栄彦](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/young_jockey/140430_03.jpg)
川須「あの〜、アドバイス料は無料でひとつ(笑)」
シュタルケ OK(笑)。僕だけではなく、ほかの外国人ジョッキーも「日本の若手は巧いね」って言ってるし、僕も日本にいる間にいろいろ勉強させてもらおうと思ってるよ。
【次回のキシュトーーク! は?】
5月の『キシュトーーク!』では、今年3月にデビューを迎えた松若風馬騎手に大注目! 松山騎手と優作騎手を相手に、初々しいトークを繰り広げます。お楽しみに!