
新人の松若騎手をゲストに迎えての対談最終回。松若騎手のお父様や弟さんのお話。松山&優作騎手から見た松若騎手の騎乗時の印象、そして自分たちの経験から競馬に関するアドバイスを送ります!
(取材・文/大薮喬介)
■松若騎手の騎乗について「すごくキレイに乗っていると思うよ」――お父さまの松若勝氏は装蹄師をやってらっしゃるんですよね? 装蹄師になろうとは思わなかったんですか?
松若 父に勧められたこともありましたけど、小さな頃から乗馬をやっていたこともあって、僕はジョッキーになりたいとずっと思っていましたから。「じゃあ、競馬学校の試験を受けてみるか?」と言ってもらえて、応援してくれるようになりました。
――兄弟はいるんですか?
松若 4つ下の弟がひとりいます。乗馬もやっているんですけど、ジョッキーは目指していないみたいです。
松山 弟は何センチあるの?
松若 僕よりも3、4センチは高いですね。競馬学校に入学する前までは僕のほうが高かったんですけど、卒業して帰ったら抜かれていたので、ちょっとショックでした(笑)。
――松若騎手は、運動神経はいいほうですか?
松若 うーん、普通だと思います。試験前は相当走り込みましたけど。
松山 僕も体重が重かったから、走り込んだなぁ。
優作 まっちゃんは苦労してたよね。
松山 うん。
――体重は何キロじゃないとダメなんですか?
松山 44キロなんですけど、44キロで入る人っていないじゃないですか。それに僕は1回落ちているので、余計に体重がきつかったですね。それでも、入学するときは42キロまで落としました。
――松山騎手と優作騎手から見て、松若騎手の騎乗はいかがですか?
優作 鞍はまりはいいですよね。
松山 確かに。僕がデビューしたときは本当にひどかったから、それに比べたら、すごくキレイに乗っていると思うよ。
松若 本当ですか? ありがとうございます!
――よく「鞍はまりがいい」って聞きますが、何となくはわかるんですけど、どういう状態なんですか?
優作 文章で伝えるのって難しいですよね……うーん。ハエがピタっと止まっている感じ?

優作「うーん。ハエがピタっと止まっている感じ?」
――わかりやすいですが、その表現はちょっと(笑)。
松山 優作、もういいよ(笑)。松若くんは乗ってみて難しいと思ったコースはある?
松若 1回しか乗ったことはないんですけど、中京の芝1600mは難しいなと思いました。
優作 最初のコーナーまでは気を使うよね。スタートしてすぐにカーブで、外の馬は内に入ってこようとするし、内の馬もいいポジションを取ろうとして。どれだけいい位置につけられるかがポイントになるんだよね。
松山 枠順や馬場によって変わるからね。開幕週は外枠が不利だけど、内の馬場が荒れてくると、それが逆になったりもするし。
――松若騎手に何かアドバイスはありますか?
優作 技術的なものは十分でしょ。このままでいいと思いますよ。
松山 うん、僕もそう思う。
優作 そうだなぁ。先輩に怒られても、委縮しすぎないことかな。もちろん、話はちゃんと聞かなければいけないけど、委縮しすぎるのはよくないから。
松山 あとはケガをしないように気をつけること。僕は2年目のときに3回落馬したけど、成績もガクッと落ちるし、存在を忘れられてしまうからね。本当にケガだけには注意しないとダメだよ。

松山「本当にケガだけには注意しないとダメだよ」
松若 はい、気をつけます!
優作 あとは、乗れないことに慣れないことかな。
松山 優作はきつい時期があったよね。競馬学校時代、一番上手かったのが優作だったんだよ。
松若 そうなんですか?
松山 うん。それでも、なかなか乗れない時期があったんだから。
優作 トレーニングをしていても乗れるわけではないし、レースに出るのは馬だから。運も必要だし、周りの人の助けも必要なんだよ。調整ルームで、まっちゃんや恭介のレースを観ていて、「俺、何やってるんだろ」って思ったもん。
――優作騎手は、騎乗機会を求めて栗東に移籍したんですよね。松若騎手は、やはり同期のレースは気になるものですか? 4月16日の段階で、義英真騎手が4勝でトップですけど。
松若 同期のレースはすごく気になりますね。でも、まだ始まったばかりですから、同期でトップになれるようにがんばります!(5月26日現在で、10勝を挙げて同期のなかでトップに立っています!)
――では、最後にご自身のセールスポイントを教えていただけますか。
松若 スタートと……、おふたりに誉めていただいた「鞍はまりがいい」ことが自分のセールスポイントです(笑)。あとは、馬の気持ちがわかるような騎手になりたいですね。

松若「馬の気持ちがわかるような騎手になりたいですね」
――ちなみに、松山騎手と優作騎手のセールポイントは?
優作 タイムオーバーになりそうでも必死で追っています!
松山 じゃあ、僕はタイムオーバーにならないように必死に追います!
【次回のキシュトーークは?】
6月の『キシュトーーク!』は、ジョッキーが語る「数字の裏側」第2弾・川須栄彦騎手編です。コース別成績、騎乗別成績など、あらゆるデータからジョッキーの深層心理に迫ります!