
▲南関東最高齢馬のコアレスピューマと伊藤厩務員
「まさかここまで長い付き合いになるとは」
南関東競馬は在厩馬の年齢制限があり、9歳いっぱいまでと決められています。しかし、A1馬(一番上のクラス)に限っては特例があり、1年間のうちに1度でも5着に入れば延長可。つい先日引退したマズルブラストは、南関東最高齢記録を更新し続け、13歳まで走りました。
現在は11歳のコアレスピューマ(船橋・川村昭男厩舎→船橋・坂本昇厩舎)が南関東最高齢。「この年までオープンで走り続けて頑張っているのは本当にすごいと思う。丈夫な馬だし、もう一花咲かせてあげたい」(坂本調教師)
中央競馬ファンの皆さんの中には、名前を聞いて懐かしく思う方もいるかもしれません。コアレスピューマは2007年1月の3歳新馬戦を池添謙一騎手の手綱で優勝。中央時代は3勝し、2010年1月から船橋の仲間入りをしました。
すでに地方だけでも7勝。2011年東京スプリントは優勝したセレスハントから0.1秒差の3着に入り、交流重賞なども含めて重賞戦線でも常連です。コンスタントに走っていますが、無理はさせずに大事に使われてきました。

▲伊藤厩務員にピカピカにしてもらっているコアレスピューマ
あごの力がいまだに強いそうで何でもバリバリ食べるので筋肉は落ちず、若々しい体つきは健在。黒光りをした青鹿毛の馬体は、いつ見てもピカピカに輝いています。
「1000万条件でこっちに来てA1にまで上がってくれたからね。まさかここまで長い付き合いになるとも思わなかった」と苦楽を共にしてきた伊藤正晴厩務員。
伊藤厩務員は過去にもコアレスフィールド(転厩時11歳)やコアレスタイム(引退時10歳)を手掛け、担当馬が高齢になっても活躍しています。
「どの馬も体調に気を遣うのは当然だけど、やっぱり脚元だね。入厩してきたら2、3か月は馬の蹄の伸びる癖をつかんで、削蹄には注意をしている。これは感覚的な部分も大きいから難しいことなんだけど、無理をすれば脚元にきちゃうし、走る馬は力があるから負担もきやすいから。ピューマは脚元の不安で休んだことはないよ」(伊藤厩務員)
コアレスピューマは若い頃はカリカリして体力を消耗しやすく、カイバが実になるタイプではなかったそうですが、年齢を重ねるごとに落ち着きと気持ちに余裕が出てきた分、カイバ食いもよくなり、実になるようになってきたそうです。そういう気性面も影響しているのか、若い頃は暑さが苦手でしたが、年齢を重ねるうちに苦にしなくなったそう。
高齢になっても活躍している馬たちの共通点を聞いてみると、「馬っけがあることかな(笑)。前にやらせてもらったコアレスフィールドもコアレスタイムもそう。やっぱり気持ちも大事なんだろうね」(伊藤厩務員)
現在は5月19日のゆりかもめオープン(大井1200m)に向けて調整中です。これまでの実績から、この馬が最も力を発揮できる条件と言っても過言ではありません。
いまだに砂をかぶるのが好きではないお坊ちゃまタイプではありますが、競馬をやめずに最後まで走り切った時はもっとやれる手応えが厩舎サイドにもあるだけに、何とかこの得意な条件で頑張って欲しいです!
今年はまだ5着に入っていないだけに、年内中に条件をクリアして、一年でも長く南関東最年長馬として走り続けて欲しいです!

▲前走東京スプリント時のパドック、結果は9着。年内中に5着の条件をクリアを目指す
さて、つい先日入ってきた話題なのですが、シリウスSや兵庫ジュニアグランプリを優勝したケイアイレオーネが、大井の佐宗応和厩舎(小林分場)に仲間入りをしました。レースを使うのはまだ先になりそうですが、これから南関東の仲間としてどんな走りを見せるのか注目が集まっています。復帰の際はご紹介させて頂きますね。
次回は5月25日(月)にお会いしましょう!