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上位人気馬に付け入る隙あり!/天皇賞・秋

  • 2015年10月28日(水) 18時00分

■天皇賞・秋(G1・東京芝2000m)フルゲート18頭/登録21頭


【コース総論】東京芝2000m Bコース使用

・コースの要所!

★ヒモ荒れ傾向の強いコース。ふたケタ人気よりも7〜9番人気を狙うべき。
★ファンのイメージよりも「さらに」内枠有利。枠番はかなり重視したい。
★差し優勢の瞬発力コースで逃げ切り至難も、人気薄は先行勢が狙い目か。






 たいへんトリッキーなコースとして知られる、東京の芝2000m。スタート直後100mの地点で「ほぼ直角」に左折するのだから、多頭数で外枠に入った馬はたまらない。ポジションを取りに行きたくても行けないのは当然で、序盤ではインもかなりゴチャつくコース。ここをどのように乗り切るかが、勝負を大きく左右する。

 16頭立て以上での平均配当は、単勝1018円、馬連1万4072円、3連複5万7725円と、単勝以外は強烈なまでの高さ。アタマはそれなりに堅いが、ヒモはかなり荒れる傾向にある。ただし、人気の分水嶺となっているのが9番人気と10番人気の間で、ふたケタ人気馬が勝利したケースはゼロ。複勝率も格段に落ちるため、人気薄では7〜9番人気の期待値が、飛び抜けて高くなっている。

 次に馬番別成績だが、当然ながら内枠有利&外枠不利。複勝率や複勝回収率ベースで比較すると、それは一目瞭然だ。内枠有利&外枠不利が周知の事実であるため、平均人気にもかなり大きな差が出ているのだが、それでも枠番値は内枠である1〜6番がトップ。複勝回収率も飛び抜けて高く、ファンの認識よりも「さらに」内枠有利であることを物語っている。

 最後の直線が非常に長いコースであるため、脚質別でもっとも勝率が高いのは中団待機組。最速上がり馬がキッチリ勝ちきり、素晴らしい成績を残していることからも、末脚のキレに秀でた瞬発力型に有利であるのは間違いない。そうなると厳しいのが先行勢で、16頭立て以上で逃げ切るのは至難の業。そういった意味でも、逃げ一手のエイシンヒカリで武豊ジョッキーがどのような騎乗を見せるか、じつに興味深い。

【レース総論】天皇賞・秋(G1) 過去10年

・レースの要所!

★1番人気は非常に強いが2〜3番人気は不振。中穴人気の強さも目立っている。
★5歳以下馬が圧倒的優勢。枠番は内枠有利ではなく「外枠不利」が正しい。
★前走人気や着順が結果に直結する一戦。前走大敗からの巻き返しは厳しい。









 1番人気馬が連対率60.0%、複勝率80.0%と優秀な成績を残している天皇賞・秋。近年は一昔前に比べると順当決着傾向が強まっており、8番人気以下馬はトータル[1-0-1-102]と不振にあえいでいる。そろそろ大荒れが──といった可能性もあるわけだが、近年の傾向からは、思い切った大穴を狙いづらいレースといえる。

 まず目立っているのが、5歳以下馬の強さだ。トータル[9-10-8-79]と3着以内馬の大半が5歳以下で、8歳でこのレースを制したカンパニーは例外的存在。これを除けば、7歳以上馬は過去10年で一度も馬券に絡めていない。5歳以下であるのは、このレースで好走する上での必要条件といっても過言ではない。

 続いて枠番だが、こちらは内枠有利ではなく「外枠不利」と結論づけたい。馬番13〜18番から好走した馬はすべて4番人気以内であり、5番人気以下馬は[0-0-0-43]と全滅。ウオッカやダイワメジャーといった超一流馬でもないかぎり、外枠に入った時点でかなり厳しいということだ。できれば、馬番1〜12番を引きたいところである。

 好走が期待できるローテは、前走毎日王冠組、宝塚記念組、札幌記念組の3パターン。トータル[10-6-5-73]と、勝ち馬はすべてここに含まれている。また、前走での人気や着順が、キッチリ結果に結びつくというのも、天皇賞・秋の特徴。前走ふたケタ人気&ふたケタ着順から巻き返したケースは、過去10年で一度もない。それ以外では、牝馬の活躍が目立っているのも、押さえておきたいポイントである。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 A→Bコース替わり。先週は追い込み馬の活躍が目立ったが、今週はどうか。

・天候予測
 土曜日から天候が崩れる見込み。道悪でのレースとなる可能性も相応にある。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎

 今週からAコース→Bコースへとチェンジ。先週の東京芝はやたらと追い込みが決まっていた印象だが、コレで少し前有利の方向にシフトしてきそうだ。とはいえ、基本的に東京芝2000mは差し優勢のコース。多少の道悪となっても、やはり中団のポジションを取れる馬がもっとも有利だ。

 血統面ではディープインパクト産駒の強さが目立つが、今年の登録馬はコース適性の高い種牡馬の産駒ばかり。今年の登録馬に関しては「血統によるコース適性の差はほとんどない」というのが、当データ分析での見立てである。母父サクラバクシンオーという血統が勝った菊花賞のように、ここはあまり血統に振り回されないほうがいいかも。

★出走登録馬・総論×各論

 ここで簡単に、天皇賞・秋というレースの好走条件をまとめておこう。列挙すると「5歳以下、前走9番人気以内&前走9着以内、前走毎日王冠・宝塚記念・札幌記念組、馬番1〜15番」といったところが重視すべきポイントで、このすべてを満たす馬はトータル[9-6-4-29]で連対率31.3%、複勝率39.6%、複勝回収率138%をマークしている。

 では、この「好走条件」を満たす今年の登録馬は? 枠番については発表待ちだが、それ以外のすべてを満たすのは、アンビシャス、イスラボニータ、エイシンヒカリ、ステファノス、ダービーフィズ、ラストインパクトの6頭しかいない。前走成績のハードルを「前走5番人気以内&5着以内」に上げると、エイシンヒカリとダービーフィズの2頭だけだ。

 また、ダービーからの直行であるサトノクラウンや、オールカマー組であるショウナンパンドラ、前哨戦に京都大賞典を選んだラブリーデイなど、上位人気に推されそうな馬が例年の好走パターンに合致していないのも気がかり。ちょっとひねった狙い目のほうが、ここは面白そうな印象を受ける。

 ……というわけで、トップ評価は「7番人気以内に推された場合のダービーフィズ」に進呈。何ともビミョーなところではあるが、もしこの条件を満たせば、本気と書いてマジで面白い。東京替わりは大歓迎のはずで、鞍上の乗り替わりもマイナスに評価する必要はなし。今年の天皇賞・秋で、最大の惑星といえる。

 二番手評価にイスラボニータ。毎日王冠では最後の最後で伸びを欠いたが、今年2走目でこの内容を残すのだから、やはり力がある。昨年の3着馬であり、東京コース[4-1-2-1]という適性の高さも大きな魅力。前哨戦を叩かれた上積みは非常に大きいはずで、いかにも期待が持てる1頭である。

 三番手評価にラブリーデイ。見違えるように強くなっているのは誰の目にも明らかで、前走の京都大賞典も完勝といえる内容。スッと好位が取れるセンスの良さもあり、安定感は間違いなくナンバーワンだ。このローテさえ気にしないのであれば、この馬を本命に取るのがおそらく「正解」だろう。

 そして、四番手にエイシンヒカリ。この馬がトップ評価でもいいのだが、東京芝2000mで逃げ切るのが至難な業であるのは前述した通り。前走の強さには正直なところ驚かされたが、それでも半信半疑な部分がある。間違いなく買うべきではあるが、これ以上に高くは評価しづらい1頭。1着か、もしくは4着以下かという極端な結果となりそうだ。

 以下はディサイファ、アンビシャス、ステファノス、ラストインパクト、サトノクラウン、ショウナンパンドラといった評価順。本当に面白い一戦で、どの馬がどの枠に入るのか、今からワクワクしてくるほどだ。枠番と人気を加味しつつ、それなりに破壊力のある買い目を組み立てて、レースに臨みたい。


■総論×各論・先週の馬券回顧




京都11レース 菊花賞(G1)
1着 04キタサンブラック
2着 11リアルスティール
3着 17リアファル

3連複4640円的中!

久々に何とか的中(安堵)。レース展開も非常に面白く、アレで3着に粘ったんだからリアファルは強いデスネ。もっとも儲けのほうはサッパリで、複勝一本のほうがまだ良かったというのは情けないかぎり。当たったときに、もっと「ちゃんと儲かる」馬券を買わないとアカンですねえ……。

※コース&血統データは2010年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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