▲(株)栄進堂の代表・平井克彦オーナー、エイシンヒカリの遠征や競馬への思いを語る
香港カップを勝利したエイシンヒカリが来週24日(火)、海外GI2勝目を目指す。ヨーロッパに戦いの舞台を移し、仏・シャンティイ競馬場でイスパーン賞(仏GI、芝1800m)に出走する。馬主の(株)栄進堂(個人名義も含む)は、エイシンフラッシュでダービー馬のオーナーにもなった一方、地方重賞でも活躍馬を輩出する。3年前に先代・平井豊光氏が逝去し、現在は次男・克彦氏が代表を務める。先代から変わらず、隅から隅まで競馬を愛するオーナーブリーダーのエイシンヒカリや競馬に懸ける思いを聞いた。(取材・文:大恵陽子)
馬主資格を持つ香港はホームグラウンド
昨年12月13日。阪神JFでメジャーエンブレムが春を楽しみにさせる勝ちっぷりを見せ、香港マイルではモーリスがマイルで絶対的な強さを見せた。そしてもう一つ、うれしい出来事があった。
エイシンヒカリが逃げ切って香港カップを制覇した。
▲香港Cで逃げ切り勝ちを見せたエイシンヒカリ(撮影:高橋正和)
一昨年の秋、アイルランドTで多くの競馬ファンにインパクトを与えた逃走劇から1年。ファンが思い描く「ヒカリらしい」走りでGI初制覇を香港でやってのけたのだ。それも、オークス馬ヌーヴォレコルトや昨年の勝ち馬デザインズオンローム、プリンスオブウェールズSの覇者フリーイーグルを抑えての快挙だった。
特大の優勝カップを笑顔で持ち上げた馬主の(株)栄進堂代表・平井克彦氏はこう振り返る。
「春の段階から香港を目標にしていました。天皇賞・秋で惨敗してしまったので、一旦仕切り直して次走は翌春の大阪杯へとも思ったのですが、騎手や調教師と話し合った結果、当初の予定通り香港カップに出走することになりました。やっとこの馬の実力を証明でき、GI馬としてのスタートラインに立たせることができてホッとしました」▲ガッツポーズを見せた武豊騎手、自身にとって2007年ドバイDF以来の海外GI制覇(撮影:高橋正和)
▲表彰式で笑顔を見せる関係者(撮影:高橋正和)
香港国際競走は、父の故・豊光氏の時代にもエイシンプレストンで何度か制覇している。香港には先代との思い出があるのだろうか。
「私が以前、香港や中国でずっと働いていたので、父がチャンスがあれば香港遠征をして、仕事の応援をしてくれていたんです。私が初めて馬主資格を取得したのは香港で、いまは兄(宏承氏)共々、香港ジョッキークラブのメンバーなので、海外遠征というより自分たちのホームグラウンドっていう感覚です。プレストン以来、今度は兄や私の代でまたこうして国際レースの1つを勝つことができて感無量です」フランスのレースを選んだ理由
年明けは再び香港で4月のクイーンエリザベスII世カップでGI2勝目を狙う予定だった。しかし、脚元の不安により回避。