▲アウォーディー、ラニの兄弟を管理し、母ヘヴンリーロマンスの主戦でもあった松永師(撮影:大恵陽子)
違った個性を持つ兄弟がともにチャンピオンズC(GI、中京ダ1800m)の舞台に出走する。優等生タイプのアウォーディー(牡6)と激しい気性のラニ(牡3)。なぜ兄弟でこんなに個性が違うのだろうか。彼らの母ヘヴンリーロマンスは、牝馬ながら2005年天皇賞・秋を勝った。芝GI馬の母がダートで活躍する馬を続々と輩出するのも不思議な感じがする。知れば知るほどおもしろい一族。騎手時代は母に騎乗し、現在は兄弟を管理する松永幹夫調教師に3頭それぞれの特徴を聞いた。(取材・文:大恵陽子)
ダート適性を秘めていた母ヘヴンリーロマンス
なぜ、天皇賞馬の母からこうもダート馬が生まれるのだろう。ヘヴンリーロマンスの主戦だった松永幹夫調教師はこんな話をした。
「ヘヴンリーロマンスの初勝利はダートでした。もしダートを走らせていても、それなりの成績を残していたと思いますよ。ただ、ダート路線を歩まなくてよかったですよね。だってダートだったら天皇賞を勝っていませんでしたから。一度フェブラリーSを走りましたが、雨で軽い馬場だったんです。また、前に行った馬向きの流れで、メイショウボーラーが逃げ切り勝ちをしました。なので、全然走れていませんでした」 11着だったからといってダート適性がないわけではなかった。むしろ、芝だけでなくダート適性も秘めていたといえるだろう。
▲天皇賞・秋を制したヘヴンリーロマンスと松永幹夫騎手(当時)(撮影:下野雄規)
『やっぱりお前もダート馬だったか(笑)』
アウォーディーも最初は芝のレースを走っていた。
「堅実なんですが、あと一歩足りないところがありダートを使いたいなと思いました。昨年の春に東京ダート2400mに登録しましたが、除外になってしまったんです。仕方なく芝を使い、秋にやっとダートを使えました。初ダートで勝って『やっぱりお前もダート馬だったか(笑)』って感じでした」