▲デビュー4年目でGI初騎乗 城戸騎手が勝負目前の心境を語る(撮影:高橋正和)
デビュー4年目の城戸義政騎手(栗東・フリー、愛媛出身)が、関東馬ブラックオニキスで初GI騎乗となる阪神ジュベナイルフィリーズに挑む。通算44勝(12月8日現在)、厩舎に所属しない城戸騎手は栗東トレセンでひまわり柄のジャンパーで調教に勤しむ。それは、所属厩舎から独り立ちする時に厩舎スタッフが「目立つように」とプレゼントしたジャンパーだった。初GI騎乗を前に城戸騎手の胸中に迫った。(取材・文:大恵陽子)
北海道で出会った根性娘
今年の天皇賞・春。
城戸義政騎手は調教師や厩務員が集まる関係者スタンドにいた。
キタサンブラックとカレンミロティックが鼻面をピッタリ合わせてゴールを駆け抜けると、歓声とざわつきの中で目を輝かせながらこう言った。
「キタサンブラックが勝ったんちゃいますかね。すごいなぁ。強いなぁ」 7か月前はこうしてスタンドから眺めていたGIレースに、初めて騎乗できる日がやってきた。
今週末11日(日)、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI、2歳牝馬、阪神芝1600m)。デビュー以来全7戦で手綱を握るブラックオニキス(美浦・加藤和宏厩舎)と参戦する。
デビュー4年目、栗東所属の彼がなぜ美浦の馬に乗るのだろうか。
「夏の北海道滞在でできた縁なんです。デビュー1年目の夏に当時所属していた藤岡健一先生からのアドバイスで北海道に行ったのですが、普段は交流のない関東の人たちに顔を覚えてもらえたり、調教に乗せていただきました。トップ騎手もたくさん来ているので、騎乗数を確保できるかなど厳しい面もありましたが、とてもいい経験ができました。それ以来、毎年北海道に行っています。(ブラックオニキスの)岡田牧雄オーナーとも加藤厩舎とも、ずっと北海道でお世話になっていたんです」 ブラックオニキスは函館・芝1000mでデビューし、4戦目の札幌・芝1500mで初勝利を挙げた。続くクローバー賞では、直線で前を行く2頭の間を突き抜けて勝利。さらに札幌2歳Sでは残り600m付近から城戸の手が動いていたにも関わらず、最後の直線で3頭併せの形になるとグンと伸びて2着争いを制した。
410kg前後の牝馬ながら、大きな闘志が宿っているのだろうか。