エリザベス女王杯で見事にGI制覇を果たした
マリアライト(牝4・美浦・
久保田貴士)が、19日(木)にノーザン
ファーム天栄に放牧に出た。
「レースの後、2週間ほど放牧に出すのがこの馬のパターンです。ここ1、2週間で激走した反動などを見極めて、
有馬記念に出走するかどうかを決めることになると思います」と話すのは、管理する久保田調教師だ。
「道中は全く不利もなく、本当にスムーズに行き過ぎているくらいでしたね。のびのび走っていましたし、良い感じで進んでいるなと。坂のあたりからスッと動いていって、4コーナーを回る時にこれはひょっとしたら来るのかなと思いました。でも後ろにまだ有力馬がいましたし、その馬たちの脚色が気になりました。後続が迫ってきていましたし、心の中で頼む!という感じで、声は出ませんでしたね。ゴール前は
ヌーヴォレコルトに前に出られてしまうかなと思いましたが、最後にもうひと踏ん張りしてくれました」と久保田師は会心のレースを振り返る。
そして「GIはずっと勝ちたいと思っていましたし、やっと獲れました。ゴールの瞬間は『やったー』という感じでした(笑)」と、師はGI初勝利の喜びを語った。
元々期待の大きな
マリアライトだったが、弱いところがあってデビューは3歳になってから。大事に育ててきて、馬自身も徐々に力をつけていった。今年3月の
潮来特別(中山・4歳以上1000万下・芝2500m)に楽勝した時に、
エリザベス女王杯を意識したという。
また
オールカマーで牡馬に混じって5着になったことで、
エリザベス女王杯でもある程度やれる手応えを陣営は感じていたようだ。レース当日のマイナス10キロも究極の仕上げだった。
「仕上がっていましたので気が入っていましたし、状態も良かったです」と話すのは担当の
伊坂重信調教助手だ。放牧前日に訪ねた
マリアライトは、戦いを終えて穏やかな表情で伊坂助手に顔を寄せた。
「4コーナーを回る時には掲示板はあるかなと思いましたけど…。蛯名さんがこれ以上ない乗り方をしてくれましたね」と、伊坂助手は
マリアライトの顔を撫でた。
もし
有馬記念に出走してくれば、師に
エリザベス女王杯を意識させた
潮来特別と同条件のレースだけに、侮れない存在になることだろう。
(取材・写真:佐々木祥恵)