今年の2歳G1を注目している。日本で4頭しかデビューしていない
フランケル産駒が、
阪神JF、
朝日杯FSを勝つ可能性があるからだ。
フランケルは英国の競走馬でG110勝を含む14戦無敗で引退。史上最強の呼び声が高く、現役時代は“怪物”の愛称で呼ばれていた。その怪物が父となり、今年、産駒がデビュー。世界では競走馬として第1次、種牡馬として第2次“
フランケルブーム”が巻き起こっている。日本でも2頭が勝ち上がり、デビューから無傷の2連勝を飾っている。
牝馬ながら
朝日杯FSの参戦を決めた
ミスエルテ。阪神芝1600メートルの新馬戦で勝ち上がり、続くファンタジーSは後方一気の競馬で快勝した。
母ミスエーニョは09年デビュターントS・米G1の覇者という血統になる。
阪神JFに出走を予定しているのは
ソウルスターリングだ。こちらは新馬戦、アイビーSを連勝中。
母スタセリタは09年仏
オークス、ヴェルメイユ賞などG16勝の名牝だ。
ともに母系は一流。活躍して当然と思われるかもしれないが、やはり父
フランケルの遺伝子が2頭の強さを生んでいると思う。
ソウルスターリングを管理する藤沢和師は「これまで
サドラーズウェルズや
ガリレオの子どもを管理させてもらったが、日本の馬場に合う馬はなかなかいなかった。同じヨーロッパの馬でも
フランケルは違う雰囲気がある。数が少ないだけに断定はできないものの、主流となっている
サンデーサイレンス、
ディープインパクトの血統に対抗できる可能性はある」と種牡馬としての
フランケルを分析する。
この2頭の牝馬が活躍することは日本競馬にとって喜ばしいこと。
フランケル産駒が日本の競馬に合うことが証明されれば、今後、多くの産駒が輸入されることになるだろう。その中にはG1を勝ち、種牡馬になる馬が出現するかもしれない。
このままでいくと日本は
サンデーサイレンス系の血であふれてしまう可能性がある。良質で非
サンデーサイレンス系の血が重要になる。いささかテーマは壮大になってしまったが、いずれにせよ目が離せないG1になるのは間違いない。(デイリースポーツ・小林正明)
提供:デイリースポーツ