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落馬負傷の三浦皇成騎手が復帰会見「“自分の居場所はここだな”という感覚」

  • 2017年07月19日(水) 16時00分
 昨年8月14日の札幌競馬で落馬して、骨盤など9か所を骨折する重傷を負い長期休養していた三浦皇成騎手が、19日(水)、美浦トレ―ニングセンターで復帰記者会見を行った。

(およそ1年振りに騎乗する今の心境は?)
「ここまで長かったなというのが1番ですけど、騎手としてやっと馬の上に戻れて、今とても嬉しく思っています」

(術後のリハビリを含めて、復帰に至るまでの経緯は?)
「怪我をしてから1か月くらいは札幌の病院に入院していました。そこで3回ほど手術をして、それから茨城の病院に転院してきました。手術をしながらですけど、12月までは病院にいました。退院してからは2、3か月ほどリハビリをして、体が動くようになったので、ここに向けてトレーニングを積んできました。5月にプレートを抜く手術をしたのですが、それで手術は計5回になりますね」

(リハビリで1番辛かったのは?)
「骨盤が複雑な形で折れてしまって原型をとどめていなくて、神経がはさまったりしていましたので、最初は左足が動かない状態からのスタートでした。お医者様も自分でもビックリするくらいの回復でしたが、足が動かない状態から動かすという、そこが1番大変でした」

(絶望的な気持ちになったことは?)
「最初の時点では、命が助かって良かったということを医者に言われた状態でした。正直騎手に戻れるかどうかもわかりませんでしたし、良い期待はしないで下さいと。最初はそういうところからのスタートだったので、絶望というよりは何が起こったのか正直わからなかったような状態でした。日に日に自分の置かれている状況に気づいて、馬に乗れるとわかるまでは、やはりとても不安な気持ちはありました。ただ絶対に戻れるという自信だけはあったので、どん底に落ちたというのはあまりなかったです」

(1年は長かった?)
「最初入院している時は、ベッドの上で動けないような状態で何か月もいたので、そこが1番長かったですね。家族の支えが1番大きかったのですけど、それもあって退院してから今日まではあっという間でした。

 退院して歩くことができて、段々負荷をかけていけて、騎乗姿勢が取れるようになってという中で、ようやく騎手として実感が湧いてきました。昨日までは中途半端な実感でしたけど、昨日乗ってやっとそれが確信に変わったというか。でも本当にトレーニングなどで忙しかったので、そういう意味では変なことをいろいろ考えることなくここまで来られたのではないのかなとは思います」

(休んでいる間の気持ちの変化や改めて考えたことは?)
「騎手を目指しだした時の昔の自分を思い出したり、自分をゆっくり見つめ直す時間が十分にありましたので、そういう意味では騎手としても人としてもすごく良かったのかなと思っています」

(昨日、今日、美浦で久しぶりに馬に跨った感触は?)
「乗馬には乗ったのですけど、競走馬は全然違いますし、約1年振りなのでどういうことが起きるのか、乗ってどういう感触を得るのか、楽しみな気持ちと不安な気持ちでドキドキして前の日は過ごしていました。昨日2頭、今日2頭と追い切りに乗りましたが、いざ乗ってみると自分の居場所はここだなという感覚で、本当に居心地が良かったですね」

(調教後、戸崎騎手と話をしていたが?)
「入院中、たくさんの方にお見舞いに来て頂いたのですけど、戸崎騎手にも来て頂いたので、その時のお礼と『もう大丈夫なので』という話をしました」

(今後のレースへの騎乗予定と、それに向けた過程は?)
「8月12、13日といういう形で報道がされていますが、落ちた時と同じ週に落ちた場所で復帰したいというのが自分の中でもありましたし、じっくりしっかり何の後遺症もない万全の状態で復帰したかったので、そこを目標にしてきました。ここまで待ったのも、1つはそういう理由がありました。今日追い切りに乗っても違和感がないですし、確かな感触は得られましたので、そこに向けてあとはしっかり美浦で調教を積んでいきたいです」

(落ちた札幌で乗るというのは勇気がいると思うが?)
「また馬に乗ることが怖くはないのかと皆さんに聞かれたりするのですけど、そういう気持ちは一切なく、逆にこのまま終わった方が変な恐怖心が残ってしまうのではないかなと。そういう怖さはなくて、ただ本当に乗りたいという気持ちだけでここまで頑張ってきました。

 自分が落馬した北海道シリーズは、自分の中でもいろいろな思い出がたくさんありますし、自分の中でも存在として大きな競馬場なので、リハビリ、トレーニングをしていく中で、そこで復帰をしたいという気持ちは1度も揺るぎませんでした。今日馬に乗ってみても、札幌で復帰したいという気持ちは変わりません」

(復帰を待ち望んでいたファンにメッセージを)
「長い時間になってしまいましたが、休んでいる時もファンレターをたくさん頂いて、本当に1つ1つの言葉にとても勇気づけられました。待っていてくださったファンの方々のためにも、これから騎手の姿でいろいろと恩返しできればと思っています。まずは復帰に向けて、競馬に乗れるようにしっかり頑張っていきたいと思いますので、また応援よろしくお願いします」

(取材・写真:佐々木祥恵)

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