先週の
ジャパンカップで3着に入線した
キタサンブラック。レース後のわりと早いタイミングで左前が落鉄していたことが報道されていました。わたしはレース後に東京競馬場の出張厩舎で
キタサンブラックの様子が極端に疲れてはいなかったことは確認していましたが、蹄鉄の状態までは把握していませんでした。そこで、28日に栗東の厩舎で様子を見てきました。
結論からいうと、まず左前脚の蹄が落鉄の影響で傷んでいたとか、釘が変な影響を与えていたということは全くありませんでした。左前の爪も蹄鉄をつける前の状態で見せていただきましたが、釘跡も含めてとてもきれいなものでした。
そして、一部では右前も蹄鉄が取れかかっていたという噂も聞いたのですが、事実無根でした。28日火曜日の時点で右前にはいている蹄鉄はレース前から引き続き履いているものであり、レースを経てもとくに修正が必要なこともないほど、いい状態を保っていました。
また、
ジャパンカップのレース写真を複数拝見して確認しました。どれもゴール地点で
キタサンブラックの蹄鉄が外れているとか、少しでもズレているとか、そういった事実を確認できる写真はありませんでした。仮に蹄鉄がズレたり外れかかったりしていたら、まず鉄心と呼ばれる中央の出っ張った部分がズレるんです。でも、写真を見る限りではそういったことは確認できませんでした。
何人かのベテラン装蹄師にも確認しましたが、やはり「ゴールまで蹄鉄はついていたと思う」という意見ばかりでした。それでも、鉄尾と呼ばれる蹄鉄の先端を引っ掛けて曲がってしまっていた可能性はあり、もしそうだったとしたら走りづらい部分もあったかと思います。
キタサンブラックにとって落鉄は今回が初めての体験だったそうです。それでも後遺症もなく、いま無事でいます。そして、ラストの
有馬記念に向かうべく、陣営は新たなスタートを切っていました。“それが何より”と感じるのは私だけではないはずです。
「レース後も極端な疲労はないです。カイバもしっかり食べていますし、元気ですよ」と担当の辻田厩務員。
昨年の
ジャパンカップの後は激走の疲れからか、レース後1週間ほどは疲れを全面に出していましたが、今回はそういうところも見受けられません。
「ラストランに向けて、いつもどおり頑張っていきます」(辻田厩務員)
栗東トレセンはだいぶ寒くなってきましたが、陣営からは内に秘めた“今度こそ”という気持ちが伝わってきました。
(取材・写真:花岡貴子)