競馬界に衝撃的なニュースが飛び込んできた。日本が誇るトップトレーナー・角居勝彦調教師(53)=栗東=が21年2月をもって調教師免許を返上することが5日、明らかになった。牝馬でダービーを制した7冠馬
ウオッカ、ドバイワールドCを日本馬として初めて制した
ヴィクトワールピサ…多くの名馬を輩出してきた名門厩舎が、あと3年で解散する。
押しも押されもせぬトップトレーナーが厩舎の解散を決断した。
11〜13年まで3年連続で
JRA賞最多勝利調教師を獲得。毎年のようにビッグレースを制し、中央、地方、海外G1通算35勝は現役最多を誇る角居師が、21年2月をもって調教師業を廃業することが決まった。
全国リーディング3位に輝いた昨年も
キセキで
菊花賞を制した関西の名門厩舎だ。誰もが驚く突然の引退宣言に、「天理教を継ぐためです。昨年、母が体調を崩して教会に通えなくなり、この1年間考えました」と角居師は決断に至った理由を説明。競馬界を離れ、地元の石川県で、祖母の代から受け継ぐ天理教の仕事に従事するという。
昨年誕生した
ウオッカの6番子の牡馬(父
フランケル)など17年生まれの現1歳馬で挑む20年が、師にとって最後のクラシックとなる。また、今年生まれる馬は預かっても3歳2月末の転厩となることなど、馬主に対する配慮から、この段階での発表に。既に緊急のお知らせとして馬主には文書での通達も行っている。「うちの厩舎は、早い時期に預かることが決まります。そのため、早めにお知らせさせていただきました」と明かした。
国内外でその手腕を発揮し、多くの活躍馬を育て上げた名トレーナー。また、障がい者乗馬を支援する団体の普及や活動などにも尽力してきた。「あと3年と少しですが、目いっぱい、手を抜くことなくやりたいと思います」。
ウオッカで64年ぶりとなる牝馬によるダービー制覇(07年)を成し遂げ、
ヴィクトワールピサでの11年ドバイワールドCの日本馬初制覇では、東日本大震災で沈む日本を勇気づけた。国内だけでなく、“世界のスミイ”と呼ばれる名伯楽は、開業から丸20年で競馬界を去る。
提供:デイリースポーツ