種牡馬としての
サンデーサイレンスのすごさを「早くから走って、なおかつ成長力があったところ」と語る橋田調教師。「その点、
ディープインパクト産駒は早めに完成して、古馬になってから伸び悩むことが多いかな」と現代のトップサイアーとの比較論を展開した。
「大体サラブレッドは3歳秋に完成してしまうもので、サンデー産駒自体が例外的な存在だけどね」。そんな持論を打ち崩しているのは自身が管理している
ディアドラだ。今年7月の
クイーンSで圧巻の追い込みVを決めるなど、4歳夏になってさらに力強くなった姿に「この時期に成長して、さらにまだ良くなりそうな雰囲気がある。こういう馬は、なかなかいない」と驚きを隠さない。これが
ハービンジャー産駒の特長なのか? その点については「それは自分には、ちょっと断定できないね。データを調べてみたら」とのことだった。
ディアドラ、
モズカッチャン、
ペルシアンナイト…昨年は同産駒のGI勝ちが続いたことで、デビュー当初の「1つは勝つが、その後が続かない」というイメージを一新したのは確かだ。
今週の
秋華賞TR・GIII
紫苑S(3着までに優先出走権)で注目したいのは
ハービンジャー産駒の
カレンシリエージョ。2歳未勝利を勝った後はしばらく伸び悩んだが、ひと息入れた前走の小倉・500万下は好位から楽に突き抜けて完勝。見事な変貌を遂げだ。
「前走のプラス体重は、ほぼ成長分。春先とは馬が違っていたし、自信があった。体ががっちりしてきたし、競馬でも春先はコーナーで張って走っていたのが、スムーズに回れるようになっていた」と鈴木孝調教師。
担当する久保田助手も「前から攻め馬は動いていたんですが、時計の割にギアが上がらなかった。それが今はギアがしっかり上がるようになっているんです。獣医さんも『まだまだこれから良くなる』と言ってくれていますし、今回はもちろん、古馬になってからが楽しみなんです」と、その成長ぶりに目を細める。
果たして
ハービンジャー産駒に成長力があるのかどうか…。今週のこの馬の走りも、ひとつの“検体”になりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ