「アイビスサマーダッシュ・G3」(31日、新潟)
7番人気の7歳牝馬
ビリーバーが、グイッと伸びて待望の重賞初制覇。デビュー12年目の杉原、開業28年目の石毛師、オーナーのミル
ファームにとってもうれしい初タイトルとなった。2着は2番人気の
シンシティ、3着は14番人気の
ロードベイリーフ。また、注目された女性騎手対決は、藤田菜七子騎乗の
スティクスが5着、
今村聖奈騎乗の
オヌシナニモノは15着に終わった。
真っ青な越後の夏空へ向けて、杉原の右手が力強く挙がった。信じる者、
ビリーバー。馬はもちろん主戦も厩舎もオーナーも、みんなそろって重賞タイトルに手が届いた。まさに栄冠を信じた陣営による絆の勝利だ。
鞍上が振り返る。「いつも以上にスタートが速かったし、理想通りのポジションを楽に取れました」。前から3列目。ラチ沿いを抑え切れないほどの手応えで追走した。「あとは前が開いてくれと」。その祈りが通じたか、ラスト200メートル過ぎでパッと視界が開けると、
シンシティの内からグイッとひと伸び。最後は1馬身差をつけ、
フィニッシュラインへ飛び込んだ。
11年に
藤沢和雄厩舎(22年2月末で解散)からデビューした杉原。多くの名馬を間近で見ながら努力を重ね、20代最後の夏に花開いた。「時間はかかりましたが、藤沢先生が引退されて、フリーとして心機一転。自分なりに何とかしようと思っていましたし、勝てたことは大きいです」。まだあどけなさを残す甘いマスクを崩した。
開業28年目の石毛師にとってもうれしい重賞V。当初、1/2の抽選対象とあって「何とか出走させたかった」と願っていたが、ゲートインがかない、しかも16番の絶好枠。「うまくいく時はこんなものだね。関係者のみんなが努力してくれたおかげ」と目を細めた。
30回目のコンビで初めてのお立ち台。主戦は「これからは重賞勝ち馬として頑張ってほしい」とエールを送った。次走は未定だが、サマーシリーズ続戦も視野に。ついに殻を破った人馬の夏はさらに熱くなるはずだ。
提供:デイリースポーツ