その四肢で数々の歴史を塗り替え、ファンを魅了し、思いを紡ぎ上げてきた。泣いても笑っても、希代の名牝の勇姿はこれで見納め。いよいよ
ブエナビスタが最後の戦場へと赴く。
闘志を前面に押し出した最終リハだった。栗東CWを単走で、マークしたタイムは6F80秒1-37秒5-12秒3。テンからしっかりとスピードに乗り、軽快にラップを刻んでいく。直線半ばで抜かれたステッキを、ゴール前でビシッと打たれてさらにひと伸び。少々ズブさが目立つようになってきた近況のなかでは、最も活気にあふれる動きを見せたと言ってもいい。「予定通り。状態は変わらんな。これ以上は良くならんぞ」。見届けた松田博師は仕上がりの良さを強調した。
昨年と同様、堂々のファン投票1位の座を獲得。10万9247票を集め、支持率は70.4%を記録した。ここまで
有馬記念では2年連続で2着に終わっているが、現役最終戦をVで飾るとともに、
シンボリルドルフ、
テイエムオペラオー、
ディープインパクト、
ウオッカと並ぶ
JRA・GI最多勝にも到達したい。
「どの馬でもそうだが“今回は良さそう”と思ったときに、しっかり走ってくれるのが調教師としては一番。有馬だからとか、そういうものはないよ」。指揮官は大一番を前にしても泰然とした態度を崩さないが、08年
アドマイヤモナークを含め、近年は3年連続で管理馬が
グランプリで2着。初制覇に燃えないわけがない。
「とにかく無事に回ってくれば、いい結果がついてくるやろう」。06年
ディープインパクト以来となる
有馬記念での有終Vへ-。劇的な結末をファンは求めている。
提供:デイリースポーツ