宝塚記念で関西馬の
ビートブラック(牡5、中村均厩舎)に騎乗する
石橋脩騎手。同馬とは、前走の
天皇賞・春で、初めてコンビを組んだ。距離が長いレースほど、騎手の腕が重要なポイントになるとよく言われるが、3200mという長丁場で、早めスパートで先頭に立つ積極的な競馬をし、14番人気だった同馬を見事に天皇賞優勝へと導いたのだった。
「天皇賞で初めて跨った時に、うまく表現はできませんが、乗った感じが良くて、やはりオープン馬だなと思いました。それまで使っているレースも、ステイヤーズSやダイヤモンドS、
阪神大賞典など、長い距離が多かったですし、スタミナがある馬だと思っていました。実際に乗っても、それは感じましたし、長距離は走り慣れていたと思います。
ゴール前は、ともかくがむしゃらに追っていました。
アドレナリンが相当出ていたでしょうね。ゴール後も、わけがわからないほど興奮していたのですが、後ろから、岩田騎手に声をかけられた時に、ハッと我に返りました。天皇賞の後、師匠である柴田政人先生には『強引な競馬だった』とは言われましたが、とても喜んでくれていましたし、僕のために厳しい意見を言ってくれたのだと思っています」
宝塚記念では、京都から阪神にコースが替わり、距離も1000m短縮される。そのあたりが、スタミナ自慢の
ビートブラックには鍵となりそうだ。
「距離が2200mと短くなって、コースも阪神になりますが、それにもちゃんと対応できるように乗りたいですね。まだどんなレースをしようとは、具体的に決めてはいませんが、中村先生も、作戦を考えているでしょうからね。まあ、ある程度は、前にいく形になると思います」
慎重に言葉を選びながら、淡々と質問に答えてくれた
石橋脩騎手。その静かな語り口は、
天皇賞・春で見せた大胆な騎乗振りとは、正直、結びつかない。だが、天皇賞を見る限りは、内面に熱いものを秘めているのは、確かだと思われる。上半期を締めくくる
グランプリレース・
宝塚記念でも、積極的な手綱さばきで、好結果を期待したいものだ。(取材:佐々木祥恵)