今週に入って、一気に涼しくなった栗東。調教開始時間前の気温が17度前後という日が続いており、その時間は半袖だけでは肌寒く感じるくらい。日が昇ると24度前後までは上昇するが、それでも夏場の酷暑よりは随分楽になった。それを一番感じているのは馬のはずで、夏場は元気のなかった馬たちも、このところの涼しさで元気を取り戻しつつある。
ウッドチップの馬場状態だが、23日に降雨があった影響は基本的にないと考えているが、坂路に関してはやや雨の影響が残ったのかなという印象はある。
【坂路/4F51.9秒】
先週は50秒台が一番時計だったのに対して、今週は26日が51.3秒の
クラウンレガーロ(栗東・日吉正和厩舎)が一番時計。坂路では時計が出る
スプリンターズS組もいつもより気持ち時計が掛かっているので、そのあたりを考慮して26日に関しては少し重めの馬場差をつけた。
27日は
エスポワールシチー(栗東・
安達昭夫厩舎)と
ハクサンムーン(栗東・
西園正都厩舎)が51.1秒で一番時計タイ。1日経って、馬場が乾いたという印象がある。そんな馬場の2回目のハロー明けで追い切ったのが、来週の
毎日王冠への出走を予定している
エイシンアポロン(栗東・松永昌博厩舎)。
池添謙一騎手を背に、DPを1周してから坂路へ。単走だったが、4F52.1〜3F37.7〜2F24.2〜1F12.0秒と、この馬本来のラストが切れる数字。
見た目にはこんなに時計が出ているようではなかったが、それでもこれだけ速いのは体調が良い証拠。担当する中野寿人調教助手も「絶好調ですよ」と満面の笑み。春シーズンは本来の力を出せなかったが、ここにきて、ようやくマイルG1ウイナーとしての本領を発揮してくれそうだ。
なお今週の馬場差は26日が『+0.2秒』、27日は先週と同じ『0.0秒』で観測している。
【CW/5F66.5秒】
坂路と同じウッドチップ馬場ではあるが、CWは特に時計が掛かっている印象はない。むしろ6F80秒を切りながら、1F12秒台で駆け上がってくる新馬がいるところを見ると、時計の出やすい馬場と判断した方がよいかも知れない。
26日は来週の
毎日王冠を予定している
エイシンフラッシュ(栗東・
藤原英昭厩舎)が追い切り。2秒近く差のある前方に
メイショウクロオビを見ながら、ゆったりしたペースで追走。直線に向いてもその差が縮まることはなく、最後までは馬体が合うことはなく、単走のような形でフィニッシュ。6F87.0秒と全体の時計は遅かったが、ラスト1Fは11.5秒。この馬らしい切れ味は見られたが、全体的な内容から、やはり
毎日王冠は天皇賞秋へ向けてのひと叩きなのかな、という印象は拭えなかった。
なお今週の馬場差は、26日、27日とも先週と同じ『-0.7秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
追い切り頭数は先週とほぼ同じくらい。ただ
ミキノバンジョー(栗東・
大橋勇樹厩舎)や
タイセイレジェンド(栗東・
矢作芳人厩舎)といった、DPで速い時計を出すタイプの馬が追い切ったことで、速い時計の馬が多かった印象がある。
ただ追い切られた全体的な数字の印象から馬場差は26日、27日とも先週と同じ『0.0秒』で観測した。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材:井内利彰)