マイルCS(GI・芝1600m)に出走予定の、
ストロングリターン(牡6)、
ファイナルフォーム(牡3)、
リアルインパクト(牡4)について、管理する
堀宣行調教師のコメント。
◆3頭併せの追い切りについて
「それぞれタイプが違いますが、目的のレースが一緒ということで、3頭で併せました。それぞれにテーマが違いましたが、先行していた
ファイナルフォームは、基本馬なりで、他の馬に合わせずに無理をしないようにという内容でした。チークピーシーズを着けているように、少し気を抜くところのある馬なので、その辺を気を付けて追い切りました。
リアルインパクトは、逆に、精神的に最近少し慣れ過ぎているところがありましたので、少し強めにやりました。
ストロングリターンは、気のいい馬で、輸送も控えていますし、基本、馬なりで、それ以上無理をしないようにと言うことで、追い切りました。3頭でしっかりと併入して、いい併せ馬だったと思います」
◆
ストロングリターンの状態について
「前走の
毎日王冠(GII・1800m・7着)は、1頭速いペースで逃げていて、馬群がバラける展開でしたので、仕掛けどころが難しいレースでした。特に前が離れ過ぎてしまったので、捕らえられないのではなかということで、仕掛けが早くなったことが、あの馬の持ち味を生かせなかった大きな原因ではないかなと思います。
一度、山元トレセンの短期放牧に出て、入厩までの間に右トモ脚の裂蹄を発症しまして、1週間ほど状態を確認していましたので、当初、帰厩してすぐの木曜日に追い切りを予定していたのですが、それが週末に延びたという状況でした。ただ、裂蹄についてはしっかりケアをして問題ない状態で、その影響は最少限度にとどまったと思います。先週、今週と気候の方も、涼しく安定してきていますので、強い負荷をかけて、この馬自身としてはフィジカル面はいい状態で来ていると思います。
コースレイアウトとしては、京都は向くのではないかと感じています。去年もおととしも、特に夏を越して秋の調整がうまくいかなかったというのもあり、
マイルCSは今回初めての参戦になりますが、マイルのGIレースとしては、この馬の能力が出せる舞台ではないかと常々思っていました。東京に比べて京都は、脚を溜めて最後に爆発させるという、この馬の良さを行かせるコースなので、そのあたりを証明できればと思っています」
◆
ファイナルフォームの状態について
「夏場に少し爪の不安があって、帰厩が1週遅れました。その中で調整を工夫しましたので、前走の富士S(GIII・芝1600m・2着)は、態勢は整っていたと思うのですが、勝負どころの反応の鈍さにそのあたりが影響していたのかもしれません。前走は、斤量的な面で言えば、別定重量で1キロ背負っている状況でしたが、互角に戦えていましたし、この3歳世代はレベルが高いと言われているのは間違いないなと思いました。
爪の不安など、まだ弱い面もあり、しっかりと強い調教をやっていない部分もありますので、まだまだ成長過程の段階です。その中で、どの程度やれるのかなと思っております。基本的にこの馬も、普段、牧場への移動や、福島への輸送を経験していて、輸送はさほど気を遣うタイプではありませんので、関西遠征時にはレースの2日前という厩舎の従来の
スタイルでの輸送を考えています。左手前で走りたがる傾向が普段からあります。左が利き脚というよりは、右手前が不得意と言っていいと思いますので、右回りは問題はありません。ただ不安は、京都の下りのコーナーをどのように乗ってくるのかということですね」
◆
リアルインパクトの状態について
「前走の
毎日王冠(4着)は、難しい流れの中でしたが、その中でもいい位置取りで競馬ができました。そういう意味では、もう少し、勝ち馬に詰め寄る場面があっても良かったのかなとも感じています。一度、ノーザンFしがらきの方に短期で放牧に出しました。こちらは馬が慣れ過ぎている部分を感じていましたので、気持ちをフレッシュにしたいということで、早めに帰厩をさせました。その後は意識的に、強めの調教と、通常のパターンとは違う調教を取り入れて、気持ちの方をフレッシュな状態で競馬に向かえるように工夫をしてみました。
昨年の秋は悪い状態ではなかったと思っていたのですが、
マイルCS(5着)、
阪神C(10着)と、関西圏は結果が出ませんでした。仮定の話にはなりますが、早めに輸送することによって、環境にすぐに慣れてしまい、緊張感のないまま競馬に行っているのが原因かなと感じていました。それで今回は、追い切った後の様子を見てからということになりますが、2日前入厩ではなく、前日の入厩をする予定です。土曜日は渋滞がありまして、平日より1時間強、輸送時間が多くかかるのですが、それを承知で前日輸送をすることにしました。輸送での負担を軽減するボディスーツを今回初めて試してみる予定です。
今年の春は、体調が少し落ち気味で、調教もしっかりできなかった部分もありますが、夏を越して今回は良い状態で戻ってきていますし、調整も強くできていますので、今回は違った姿を見せてくれると思います。追い切りに騎乗したムーア騎手も、この馬について感触を掴んでくれたと思いますし、復活のきっかけを掴んでくれればいいですね」(取材・写真:佐々木祥恵)