現地時間30日、UAEドバイ・メイダン競馬場で行われる
ドバイシーマクラシック(G1・芝2410m)に、
ジェンティルドンナと
トレイルブレイザーが参戦する。ナドアルシバ時代には
ステイゴールドと
ハーツクライが凱歌を挙げているこのレース。1着賞金300万ドルはドバイミーティングでもワールドCに次ぐ高額で、世界各国から出走馬が集う一戦だが、今年は現時点で12頭が出走を予定している。海外勢の動向を含めてVの行方を占ってみたい。
まずフランスから遠征を予定している有力馬が、
シャレータとドゥナデンの2頭。昨年のヴェルメイユ賞を大楽勝した
シャレータは、一昨年の
凱旋門賞でも2着に入線したこの路線の一流牝馬だ。
BCターフ5着以来久々の実戦となるが、早くからドバイ遠征が目標に据えられ、冬場も
シャンティイでしっかりと乗り込みが続けられてきた。鞍上には今年も
C.ルメール騎手が予定されていて、けれんみのないスピードを武器に、
ジェンティルドンナとの日仏名牝対決に挑む。
一方のドゥナデンは今年からM.デルザングル厩舎に復帰した2011年
メルボルンCの覇者。12ハロンはこの馬にとってベストよりも短いが、
香港ヴァーズと
コーフィールドCを制するなど十分に守備範囲と言える距離。今回はG.ウィ
リアムズ騎手からメイダンに強いJ.スペンサー騎手に乗り替わっての出走が予定されている。
愛のバリードイルからは昨年の2着馬
セントニコラスアビーが参戦。同馬は2011年の
BCターフを制し、コロネーションCも2連覇中、まさに12ハロンのスペシャリストと呼べる強豪馬。昨年のこのレースでは、力強い追い込みを発揮し、
シリュスデゼーグルにあと一完歩まで迫った。
暮れの
香港ヴァーズを制した
レッドカドーはワールドCに向かう公算が高く、アルマクトゥームチャレンジR3で
トレイルブレイザー同様にタペタ適性を示せなかった米国馬
リトルマイクはドバイDFへ。前哨戦のドバイシティーオブゴールドを制した
ジャッカルベリーは脚部不安を発症し、すでに英国へと帰国してしまったが、代わって
デインドリームで知られるドイツのP.シールゲン厩舎から独G1オイロパ賞を勝った
ジローラモ。ゴドルフィンから
凱旋門賞3着馬の
マスターストロークなどが出走を表明している。
不気味な存在はカタール調教馬の
ベリーナイスネーム。昨秋まで仏のF.ヘッド厩舎に在籍し、カタール移籍後にその素質を開花させた同馬は、フランス産の4歳牡馬。ドーハで2月に行われた芝2400mのエミールズトロフィーなどG1・3つを含む現在5連勝中で、シーマクラシックでも前走に引き続きオリビエ・ペリエ騎手の手綱が内定している。カタールはアラブ馬の競走が盛んなことで知られるため、未知な部分も多いが、“ペリエマジック”による大勢逆転の可能性を秘めた1頭だ。
芝王道路線で世界のトップ3といえる
キャメロット、
オルフェーヴル、
シリュスデゼーグルは不在だが、上述のように芝12ハロンのG1馬が揃い、多士済々の実力馬たちによる激しいレースが期待される今年のシーマクラシック。
ジャパンCで
オルフェーヴルを抑えた
ジェンティルドンナは確実に本命級の評価を受けるはずで、初の海外遠征で力を出し切れるかどうかがカギ。主戦場の芝に戻ってのナイター2戦目となる
トレイルブレイザーの巻き返しにも期待したい。(取材・記事:沢田康文)