22日、栗東トレセンで
日本ダービーに向けての追い切りと共同記者会見が行われた。
キズナは午前6時20分、坂路コースで追い切られた。鞍上は
武豊騎手。僚馬
ウォーターパークとの併せ馬で時計は54.3-39.2-25.5-12.4だった。佐々木調教師と
武豊騎手は共に会見に臨み、以下のように答えている。
◆佐々木調教師
弥生賞で権利がとれなかったので、その時点で目標をダービー一本に切り替えた。その後の2戦の内容は「うーん、強いなぁ」という内容でしたね。特に前走は午前中から前残りの競馬だったので、(後方策では)届かないかな? と思いましたがよく届いてくれました。
ダービーに向けての追い切りはビッシリやろうと思っていました。とにかく「やらなさすぎ」だけは嫌だったので。豊ちゃんには「あとは加減するから(この追い切りは)ビッシリやって」と言いました。その通りいい動きでしたね。時計は全体で56、上がりが13.1か2くらいだと思っていたが、騎手が乗っているということもあり思っていたより速くなりましたね。
(今朝、馬場が開場してから時間を経過して追い切ったことについては)あんまり(頭数が)多いところではやりたくなかった。
キズナは後ろから抜かれるのが一番嫌いな性格。少々馬場が悪くても馬の気持ちを優先できる追い切りをしたかったです。
左まわりについては、正直やってみないとわからない。今までの競馬をみていると右手前を多用しているようなので、直線を右手前で走る左回りのほうがあうんじゃないかな? と思っています。 距離については、そうバカみたいにひかかっていく馬じゃないので大丈夫だと思います。輸送はまったく心配していないですね。
皐月賞組との比較はさっぱりわからない。相当強いとは思います。
こういう馬をダービーに送りだすのは、嬉しいですよね。トレーナー冥利につきます。これまで、せっかくの舞台なのでストレスを与えないようみんなハッピーでやってきました。ゲートオープンまでが調教師の仕事。そこまできっちり管理をして、あとは天命にまかせます。
◆
武豊騎手 京都新聞杯のポジションどりは特に決めていなかったのですが。結果的には僕自身も後ろになりすぎたかな? と思いました。でも、
ゴーサインを出した後の反応はすばらしかったです。本当にいい反応でしたね。
ラジオNIKKEI賞から乗っていますが、1戦1戦ごとに成長を感じますね。2歳時より全体的に
パワーアップしているし、キレも磨きがかかっています。精神面はまだやんちゃなところはありますが、レースではわりと度胸が座ったところもあるんです。スタートが近づくにつれレースに集中してくるという、珍しいタイプの馬ですね。
今日の追い切りの動きはすばらしかったです。さすがにダービーというだけあっていいかたちで追い切りができました。距離は前走が2200mで特に問題なかったので、2400mもこなしてくれるのでは? と思っています。左回りは初めてですが、決して右回りが上手という感じではないです。
やはり
ディープインパクトの子供でダービーに出れるというのは嬉しいですね。彼の遺伝子を受け継いでいるのは感じます。親子制覇できるといいですね。
エピファネイアはハロー明けの午前7時30分に坂路コースで追い切られた。鞍上は
福永祐一騎手。
レコメンドとの併せ馬で時計は54.7-4.1-25.1-12.9。
◆福永騎手
皐月賞は当日、馬も落ち着いていたし返し馬でも
リラックスしてゲートインまでは順調でしたね。1コーナー手前で内の馬に寄ったときに急にエキサイトしてスイッチが入ってしまった。向こう上面に入って落ち着きは取り戻しましたが、あの1コーナーから2コーナーにかけての力みが最後の着差にでたのかな、と思いました。一度かわされてからもう一度差し替えそうと馬は頑張っていたので、潜在能力では(他馬とは)大差はないと思います。
1週前追い切りは、後ろから追いかけて最後1ハロンだけ(追う)、という指示でした。ペースが遅かったので馬もずいぶん行きたがっていましたけど、抑えもきいて走れていましたから。内容的には悪くなかったと思います。
今日の追い切りはすでに体もできているので、1頭追いかけてラスト1ハロンで感触を確かめてくれ、と言われました。坂路で追い切りに乗ったのは初めてでしたが、終始
リラックスして折り合いもスムーズ。1ハロンだけノビノビと走らせましたが、いいかんじで走っていました。
血統的には両親ともに2400mを勝っているので問題ないはずです。うまくコントロールさえきけば、スタミナは問題ないと思います。 左回りについては、そもそも馬は左まわりのほうが走りやすい生き物なので問題ないと思います。大丈夫じゃないですか? 大丈夫だと思って乗ります(笑)。
自分が騎乗していた馬の子供でダービーに挑むのはそう何度もできることじゃありません。
シーザリオには「よくぞ、こういう馬を産んでくれた」という気持ちです。 ダービーは父も僕も含めて、すべてのホースマンの夢であり、あこがれです。ダービーに賭ける思いは強いですが、馬にとっては関係ない話なので。あまり人の気持ちを馬に託しすぎないように努めたいと思っています。
強い馬は強いというのを証明するのが競馬だと思います。有力馬の1頭に乗れるのは名誉なことですし、そう何度もあることじゃない。ここまで順調にこれているので、あとは本番を迎えるだけ。ダービーでこういう馬に乗るために毎日頑張ってきました。1着でゴールしたいですね。
なお、
ロゴタイプに騎乗するC.デムーロ騎手も栗東トレセンで記者会見に応じている。
◆C.デムーロ騎手
ロゴタイプに初めて乗ったのは
スプリングSですが、レース前に(1走前の朝日杯で手綱をとった)ミルコと話して癖などを聞きました。スタートも速いし、どこのポジションもとれる。ペースで応じて(走る)場所を選んでくれ、と言われました。
皐月賞ではメンバーが強い中で勝ったことに驚きました。
ロゴタイプは速いタイムに対応できるのすばらしい馬だと思いましたね。 瞬発力という点では欠けるかもしれませんが、基本的にいいスピードを持っています。東京も2400mも対応する力はあると思います。どこのポジションにいても折り合える馬なので、これは距離延長ではアドバンテージだと思います。
(兄の
ミルコ・デムーロ騎手からは)
日本ダービーを勝つことはイ
タリアのダービーを10回勝つくらいのレースだよ、と聞いています。いいレースができるように頑張ります。(取材・写真:花岡貴子)