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栗東の名門・角居勝彦厩舎、2012年生まれ(現1歳馬)の受け入れ断念

  • 2013年06月13日(木) 17時08分
 12日、角居勝彦調教師(49歳・栗東)が、自身のオフィシャルブログ「Team Sumii」内で2012年生まれの1歳馬を預からないことを明らかにした。

 ブログの中で角居師は「いつも応援していただいている皆様へ」と切り出し、「一口馬主クラブに限らず、すべてのオーナーの2012年生まれのご愛馬の預託をこちらの申し出によりお断りさせていただいた」と発表。その理由には、JRAが今年の秋から1調教師あたりの預託可能頭数を変更したことを挙げている。

 JRAによる「1厩舎あたりの預託可能頭数変更」は、28の馬房数を擁する角居厩舎の場合、2012年10月1日以前には馬房数の3倍(20を超える馬房は係数が2倍)で最大76頭預かることができたが、これが2.7倍に規制され、今年の3月1日からは2.5倍へと変更された。これにより今は、預託可能頭数が最大で70頭となっている。

 こうした現状の中で、角居師はブログで「成績を上げることで馬房数が増え、それに伴って管理頭数が増えていくというルール(2004年から開始された厩舎メリット制)のもと、それにあわせた厩舎運営をしておりました。ひとつでも多くの勝利をあげようと取り組んできた積み重ねを否定されるような預託頭数削減に対して何らかの対応を取らざるをえなくなりました。勝つことを目標にやっているのに、勝てば勝つほど馬の入れ替えがうまくいかなくなるというジレンマに陥ってしまうからです」と、今回の決断を明らかにしている。

 さらに、現役時代も角居厩舎で活躍した母馬や、きょうだい馬に続く形で預かっている馬も複数いるとした上で、「そのなかから、特定のオーナーの馬だけを預かる、特定の血統の馬だけを預かるといった行為は、応援して下さるオーナーやファンの皆様から許される行為ではないと考えました。一旦お預かりした馬に対して厩舎としてベストを尽くさず、馬房数が削減されたことを理由に早々と見切りをつけてしまうことも同様で、どちらも今までの厩舎のスタイルに反することで、大好きな馬達を裏切る行為であると思います。そしてもうひとつ、わたくし自身のライフワークである障がい者乗馬やホースセラピーの活動を進めていく上においても道理の通らない行為だという思いから、2011年の暮れにオーナーの皆様に事情を説明し、翌年誕生する2012年度産駒については一切の預託をお断りさせていただきました」と説明。こうした経緯があった上で、去年は当歳馬を観にいかず、2014年の新馬戦や2015年のクラシック戦線に角居厩舎から出走させることができなくなった現状に、無念の思いを滲ませた。

 角居厩舎は、2007年に64年ぶりとなる「牝馬のダービー馬」ウオッカや、2011年に日本馬で初となるドバイワールドCを制したヴィクトワールピサを輩出。今年もクラシック戦線では、管理馬エピファネイア(牡3、母は同厩舎が生んだ名牝シーザリオ)が皐月賞日本ダービーで連続2着と活躍している。

 2001年3月の開業以来、多くの名馬を送り込んだ栗東の腕利きが、2015年のクラシックを棒に振らざるを得ないという空前の事態。少し前まで「優勝劣敗」を奨励する形で厩舎メリット制を開始したJRAに対し、そのルールに基づく形で、技量を日々磨きつつスターホースを多数送り込んだ厩舎サイドからすると弊害ばかりが先立つ急なール変更には我慢ならなかったのか、身を削っての「猛抗議」という異例の事態へと発展している。

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