オルフェーヴルの回避により、
ゴールドシップ、
フェノーメノ、
ジェンティルドンナの4歳3強対決に様相が変化した
宝塚記念。3頭の中で最も注目する馬は? 騎手、調教師、厩舎関係者など、トレセン関係者に緊急
アンケート。(取材・写真:佐々木祥恵)
●松山康久調教師
【
フェノーメノ】
「
フェノーメノに注目しています。関東馬だからというわけではないですよ。天皇賞を勝って、今勢いがありますからね。元々堅実で大崩れしない馬でしたけど、天皇賞でのレース振りを見ても、他の2頭との差はもうほとんどないでしょう。それはオルフェ―ヴルがいたとしても同じです。勢いというのがポイントだと思いますね」
●
根本康広調教師
【どの馬が最強というよりも、個々の思い入れで選んでほしい】
「どの陣営も
宝塚記念を勝ちたいという気持ちがあると思いますが、
ジェンティルドンナは、この後に
凱旋門賞に遠征する、
ゴールドシップは
天皇賞・春の汚名返上、
フェノーメノはもう1つタイトルを獲りたいなど、それぞれの思惑があると思うんですよ。
それに
ゴールドシップは、前回不可解な負け方をしましたから、今回はウチパクが栗東に行って、付きっきりで調教をつけて信頼関係を築こうとしていますよね。そういう物語が、
ゴールドシップだけではなくて、それぞれの陣営にはあるものです。だからどの馬が最強というよりも、皆さんが個々の思い入れで応援してもらえればいいというのが僕の考えです。
また、
フェノーメノが道中どの馬を目標に乗ってくるのか、
ゴールドシップはどこで動くのか、
ジェンティルドンナの場合は岩田騎手が本能でどういう乗り方をしてくるのかというのを、レース中はもちろん、レース後もそれに注目して見返してみると、陣営や騎手の心理が見えてくることがあります。
オルフェーヴルが出ていたら、
凱旋門賞には乗れない池添騎手が、何が何でも勝ちたいという気持ちで乗ってくるのかに注目していただけに残念ですね。
騎手というのは、いかにミスを少なく乗ってくるかなんですよ。能力が1頭だけ抜けている場合は、他の馬がミス1つのところを2、3回ミスしても勝てますけど、今回の3強のような場合は、ジョッキーの1つのミスが勝負を分けます。一瞬の判断ですよね。細心の注意を払って大胆に乗るというのは難しいものです。そのようにレースを見て、楽しんで頂ければと思います」
●
田中勝春騎手
【
フェノーメノ】
「注目は
フェノーメノですね。
オルフェーヴルがいたとしても、
フェノーメノに注目します。乗りやすく見えるし、堅実ですよね。それに今年に入っての充実振りは目を見張るものがあります。競馬が上手な馬ですから、乗っている騎手も安心でしょう。
ゴールドシップはちょっと難しそうですね。人気を背負うと難しいタイプだと思います。乗っている方もヒヤヒヤするのではないでしょうかね。ただ、雨の降りやすい時期だし、渋れば浮上するでしょう。
ジェンティルドンナは、日本のレースではドバイのようなことはないでしょうし、侮れないと思いますよ」
●花田大昴騎手
【
フェノーメノ】
「自分で乗るなら
フェノーメノですね。無難な感じがしますし、切れ味もあるように感じます。実際、
ゴールドシップにも勝っているというのもありますね。
新潟開催が終わるまで美浦に滞在していますが、栗東にいた時には
オルフェーヴルに遭遇したことがあります。怖いような近づきたくない雰囲気があり、
オルフェーヴルが近くに来たら、逃げていました。オルフェ―ヴルが出られないのは残念です」
●谷中公一調教助手(
天間昭一厩舎)
【
ジェンティルドンナ】
「
フェノーメノは強いと思いますし、関東馬ですから応援したい気持ちもあるのですが、今週の調教が控えめだったのがちょっと気になります。輸送もあるし、暑くなってきたのも考慮したのかもしれないですね。その点
ジェンティルドンナは、栗東の坂路での追い切りも素晴らしい動きをしていましたし、暑さに強い牝馬ですからね。それに輸送のある
フェノーメノと違って、阪神競馬場でのレースという地元の利があると思います。
ジャパンCのレース振りを見てもわかるように、精神的にも本当にタフな馬です。
ゴールドシップは、ウチパクが付きっきりで調教しての効果に注目したいですが、
天皇賞・春の戦意喪失したような走りを見ると、ちょっと信用しきれない部分があります。
オルフェーヴルの回避は本当に残念ですよね。やはり
オルフェーヴルが
宝塚記念の目玉でしたし、この4頭がぶつかることはこれから先ないかもしれないですから、4強対決が見られなくて本当に残念です。3強以外では
トーセンラーに注目していましたが、馬場状態が悪くなると厳しいかもしれないですね」