昨年9月16日の中山競馬での騎乗の際、第一、第二頸椎骨折及び、頭蓋骨亀裂骨折の怪我のため、戦列を離れていた後藤浩輝騎手が、8月28日(水)から、美浦トレセンで調教の騎乗を開始。初日は3頭の調教に騎乗した。
「競馬学校ではある程度、速いところは乗っていましたが、今日のように速いのは1年振りですからね。久し振りに乗れてワクワクしましたし、1つ1つの動きが新鮮に感じました。新鮮に感じたというのは、つまり体がビックリしているということだとも思います。ただビックリしたとしても、かつてやってきたことを体は忘れていませんので、騎乗を重ねていくうちに、昨日できなかったことが今日はできているという感じで、1つ1つ
ステップアップしていくと思います。
これだけ長期間休んでいたのに、温かく迎えてくれて調教に乗せて下さり、本当にありがたいです。今週競馬に使う馬にも乗せてもらいましたしね。でも、まだ指示通りに乗ることで精一杯で、競馬に勝てるような味付けをする余裕はなかったですね。一応は、ガッカリはされないような調教はできたのではないかとは思いますけど。
調教に復帰して戸惑ったのは、取材陣に囲まれたことでしょうかね(笑)。この1年、今日のようにこれだけ自分にカメラが向くことはなかったですから。
これまで、乗馬苑や競馬学校の馬にもリハビリで跨ってきましたが、現役の競走馬とは全く違います。常歩の躍動感も、
テンションも違います。未勝利馬であっても、こんなに走ることができるのだと、乗っていて嬉しくなりました。
馬の上は僕にとって、安心できる場所です。これまでも怪我をしたり、精神的に苦しいことがあっても、馬に乗ってしまえば忘れることができました。だから馬の上は、自分にとっては唯一、幸せを噛みしめられる場所なのかもしれないですね。
10月5日から始まる東京開催からの復帰を予定しています。指示を受けたことやフォームなど、1つ1つ確認しながらやっていますが、それが反射的に、あるいは無意識にできるようになるには、時間と頭数が必要かなとも思います。戦列復帰に向けて、多くの騎乗依頼を受けられるように頑張っていきたいと思います」(取材・写真:佐々木祥恵)