菊花賞で3コーナーの坂の上りでスパートするのはやってはいけないと言われたように
ロンシャンのフォルスストレートでスパートするのは本来やってはいけないこと。
世界のほぼベストメンバーのそろった凱旋門賞で
そんな禁じ手を打ちながらも5馬身差の圧勝を演じてしまった。
ザルカヴァと同じ無敗、デインドリームと同じ圧勝でも、
内容の重み、凄みが明らかに上と評価されたのだろう。
寒気がするほどの圧巻の勝利を見せつけられた後に
オルフェーヴルの敗因を問われたスミヨンは気の毒だった。
稀代の勝負師である彼が「何度やっても勝てない」と口にできるわけがない。
斤量差を敗因に挙げ、「“3歳のトレヴには”何度やっても勝てない」
と逃げ道を作るしかなかったところに、彼の心中を察する思いがするし、
精一杯彼なりに日本人のプライドを慮ったのだと理解している。