◆第33回
ジャパンカップは、一番人気に応えて
ジェンティルドンナが史上初の連覇を成し遂げた。ドバイ遠征から始まった今年は、常に善戦しながらも勝利を掴めずにいたが、昨年
オルフェーヴルとの一騎討ちを制した舞台で、輝きを取り戻した。
パドックに登場した姿は、前走の天皇賞秋と同じ470キロ。周回するごとに気合が乗って行くのはいつも通り。今日はゲート裏の輪乗りでもクビを上げ下げして、前走以上に気合を表に出していた。
・石坂正調教師
「今年ずっと勝つことを意識してやって来たんですけど、最後の最後でやっとファンのみなさんの想いを
ジェンティルドンナが遂げてくれました。本当に悔しい思いをわたしもしましたけど、ファンの方々や関係者の方も、『ジェン
ティルはもっと走れる』と悔しい想いをしていたと思います。今日、
ジャパンカップを連覇出来て、最強馬の1頭だということを示すことが出来たと思います。
人馬の
リラックスがあったら大丈夫だと、ジョッキーには伝えていました。まず返し馬の時に、今まで見たことないくらい落ち着いて出来たので、いいレースが出来るんじゃないかと思ってました。レースでは闘志溢れる走りを見せてくれて、それをなんとかジョッキーがなだめてくれて、勝ちに行くレースで勝ってくれました。
今後のことですけど、まずはこのレースを勝ってからと思っていて、実際に勝ってくれたので、予定通りしばらく休んで、また来シーズンは大きなレースに向かって行きたいと思います。具体的にはまだ決まってないですけど、またドバイに行くことになるだろうと思います」
・ライアン・ムーア騎手
「素晴らしい馬ですね。この馬に乗せていただいて、感謝しています。正式に
ジャパンカップを連覇出来て、強い牝馬だということを証明出来ました。
早めに先頭に立って、外から
デニムアンドルビーが来てるのはわかっていたけど、最後までよく頑張ってくれましたね。勝ったとは思ったんですけど、掲示板に出るまで自信がなかったので、喜びは抑えました。
この馬の強い走りを皆さんが待ち望んでいたことはわかっていたので、期待に応えることが出来て嬉しいです」
◆2着
デニムアンドルビーは、今回が初の古馬混合戦。しかし、並み居る強豪に怯む様子はなく、レース前にも
リラックスしている印象だった。
・
浜中俊騎手「スタートしていつもゆっくり行っているので、今日もあの位置からになりました。じっくりとタメて、道中は気を抜かせないように、ハミを受けながら走ってくれました。負けたことは悔しいけれど、最後あれだけ脚を使ってくれて…。本当によく頑張ってくれましたね」
・角居勝彦調教師
「53キロだったり、高速馬場、スローペースとこの馬にとっていい条件が揃いましたが、
ジェンティルドンナ相手によくここまで頑張ってくれましたね。この後は
有馬記念は使わずに放牧に出す予定です。また来年、楽しみですね」
◆3着は、11番人気だった
トーセンジョーダン。ここ最近は敗戦が続いていたが、久しぶりに天皇賞馬の力を見せてくれた。
・ウィ
リアム・ビュイック騎手
「調教に乗せてもらって、良くなって来ているのはわかっていました。長くいい脚を使える馬なので、前に行きました。作戦通り乗れたと思います。改めて、能力の高さを見せてくれたし、この馬に乗せていただいて、とても感謝しています」
◆4着
アドマイヤラクティ・クレイグ・ウィ
リアムズ騎手
「
オーストラリアから来て、その足で追い切りに騎乗したように、このレースに賭ける意気込みは大きかったです。前走もいいレースをしているし、ここでも十分勝負になると思っていました。
馬場入りでは少し入れ込みを見せる馬なんですが、スタッフの方々が工夫してくれてスムーズに行ったし、落ち着いてレースを迎えることが出来ました。内にこだわったレースをして、理想よりは少し後ろのポジションでしたが、直線で進路が取れてからはよく頑張ってくれました。この4着は、褒めてあげたいですね。
右にモタれる面が解消すれば、さらに走れると思います。
有馬記念でも、十分戦える馬ですよ」
◆6着
ルルーシュ・
福永祐一騎手
「イメージ通りのレースが出来たと思います。1コーナーでゴチャッとなったところで少し力んでしまったけど、だいたいの部分は上手くいきました。一瞬、『行けるか!』と思うところもあったけど、このメンバーでよく頑張ってくれたと思います。いい馬だし、もっと走って来るんじゃないですかね」
◆7着
ヴィルシーナ・
岩田康誠騎手「ペースが上がった時に少しついて行けなかったんですけど、その後直線でもう一回盛り返してくれました。ここに入って、よく頑張ったと思いますよ」
◆8着
アンコイルド・後藤浩輝騎手
「1、2コーナーでギュっと狭くなって、その時にこすられてしまって、ガクっと下がってしまいました。その分、後々まで尾を引いた感じです。最後までバテずに頑張る気持ちがあったし、ホント、1コーナーだけですね」
◆9着
ナカヤマナイト・
柴田善臣騎手「1コーナーで狭くなった時に、いつもよりも怒っていました。そこで火ついちゃって…。でもすぐに落ち着いたし、直線半ばまでいい感じでした。成長していると思います」
◆10着
エイシンフラッシュ・
ミルコ・デムーロ騎手
「スタートが良くて、この馬にとってハナに行くのが合わないということはわかっていたんですけど、他に行く馬がいなくて、押し出されるようにハナに立ちました。調子が良かったし、とても残念です」
◆11着
ヒットザターゲット・
武豊騎手「3コーナーからグッとハミを取って行ったので、抑え込むよりもこの馬に任せた方がいいかなと思ってました。ああいう馬だから、気が乗った時に行った方がいいかなと。最後は止まってしまったけど、頑張ってくれました」
◆15着
ゴールドシップ・
内田博幸騎手「3コーナーでもっと早めに上がって行く予定だったんですけど、上がって行けなかった…。追い切りの動きも悪くなかったし、なんでなのか…。ただ、乗っていたのは僕ですから、結果を出さないとしょうがない。導けなかった自分が悪いです」
(取材:赤見千尋)