◆並み居る砂の猛者たちを退けて、最後の
ジャパンカップダートを制したのは、今年に入ってダートに転向した
ベルシャザールだった。538キロの雄大な馬体はパドックでも一際目立っていて、黒光りする皮膚がまぶしいほど。レースでもその強さを存分に発揮してくれた。
・松田国英調教師
「今日は自信を持っていました。
クロフネを物差しに考えると、ダービーをきちっと走れた馬はやはり力がありますね。この馬にGIを獲らせたいという想いがありましたが、壊さないようにGIを獲るためにはこの路線だろうということで、ダートに進みました。他の馬と比べると、完成が遅かったのかもしれませんが、今は本当に充実しています。
レースでは4コーナーから何回も他の馬とぶつかっていましたが、それで逆に火が付く馬。その勇気がすごいです。ここまで使い詰めで来たので少し休ませて、この後は
フェブラリーステークスが目標です。
この3年間色々と調教を工夫して来て、それが実って嬉しいですね。なかなかGIが勝てなかったんですけど、自分のところから巣立って行った角居調教師や村山調教師がGIを勝って、上に行っちゃったんでね。嬉しい想いもありますけど、悔しい気持ちもありました。その人たちを負かしたいという想いもあって、みんなで頑張ってきました。馬を育てることはもちろんですが、またそうやって競い合って上を目指せるような人も育てていきたいです」
・
クリストフ・ルメール騎手
「4年ぶりに日本でGIを勝つことが出来て、とても嬉しいです。馬主さんはじめ、サポートしてくれた皆さん、応援してくれたファンの方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。
前走に乗せていただいた時、ダート適性はあるし、能力の高さを感じました。今日のメンバー相手にどのくらいやれるかと思ってたけど、馬のコンディションが
パーフェクトだったし、自信を持って挑みました。
レースは強い馬に離されずついていくことが大事と思っていて、向正面で少しポジションを上げることが出来て、最後は外に出せました。パワフルな馬だし、加速が素晴らしいので、加速した時には『今日はイケるんじゃないかな』と思いました。マイルでも2000でも対応出来る脚がある馬なので、今後が楽しみです」
◆2着は待機策から直線で伸びて来た
ワンダーアキュート。クビ差で栄冠を逃したが、3年連続2着という成績は、この馬の強さを物語っている。
・
武豊騎手「惜しかった…。でも、いいレースが出来ましたね。状態も良かったし、4コーナーまで完璧なレースでした。最後も変わる勢いだったけど…ホント、惜しかったです」
◆3着は1番人気に支持された
ホッコータルマエ。
・
幸英明騎手「スタートも決まって、理想通りでした。ただ、4コーナーで早めに抜け出す形になってしまって…。その分なのかな。後ろから来た時に反応してくれたけど、脚色が違いました。頑張ってくれたんですけど、人気に応えられなくて、申し訳なかったです」
◆4着
ブライトライン・
福永祐一騎手
「状態も良かったし、レースもばっちりでしたね。1,2コーナーで少しハミを噛みかけたけど、すぐに落ち着いてくれました。1800もこなせるけど、1600ならもっとやれると思います。来年の
フェブラリーSが楽しみです」
◆5着二ホンピロ
アワーズ・
酒井学騎手「スタートしてスムーズだったし、外枠から内を見ながら進めました。久々の分、少し力むところはありましたが、直線向くまで一発あるかという手応えでした。久しぶりの分もありますが、力のあるところは見せてくれましたね。やっぱりすごい馬です」
◆6着
グランドシチー・
津村明秀騎手「一発あるなら後方待機からかなと考えて、そういう乗り方をしました。よく伸びてくれたし、このメンバーでこれだけやれたのは立派だと思います」
◆7着はラストランとなった
エスポワールシチー・後藤浩輝騎手
「無事に終わってほっとしてます。最後までエスポらしさを見せられたんじゃないかな。マークもキツかったし、結果は残念だったけど、とにかくこの馬らしく終われて良かったです」
・レースを見守っていた佐藤哲三騎手
「まだまだ頑張れそうな走りでしたね。これで引退なので、淋しいですけど無事に終われてよかったです。
この馬には本当に色んなことを教えてもらったんですよ。今までにない乗り方を教えてもらって、僕自身、成長させてもらいました。それが、
アーネストリーや
キズナに繋がっていると思うんです。
復帰にはもう少しかかるんで、この馬に乗ることは出来なかったですけど。でもエスポくんの下も入って来るし、いつかは子供たちとコンビを組みたいですね。それを励みに頑張ります」
◆2番人気13着
ローマンレジェンド・
岩田康誠騎手「道中ずっと囲まれて走っていたので、馬が自分で止めてしまった感じでした。1枠だったけど、結果的には広いところに出した方が良かったのかもしれません。もっと走れる馬なので、残念だし悔しいです」
(取材・赤見千尋)