今年最初の
JRA・GIは、16番人気の伏兵
コパノリッキーが、脅威の粘り腰を見せて初のGI制覇。群雄割拠のダート界に、新たな星が誕生した。
◆パドックに現れた
コパノリッキーは、初のGI舞台にも全く動じずに、落ち着いて周回を重ねていた。レースは好スタートから2番手を確保。直線で後続馬に飲み込まれるかと思いきや、そこからもう一度粘りを見せて、他馬の追撃を退けた。
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田辺裕信騎手「嬉しいんですけど…今は放心状態です。何て言うんですかね、平常心で乗れたのが一番良かったんじゃないですかね。
コパノリッキーに対しては、もともと強いイメージがありました。
ベストウォーリアにも着差をつけて負かしていますし。その後ケガをして、休み明けはちょっと…。でもそのことは頭に入れないようにして、いいイメージを持ってレースしました。
村山先生からは出たなりでと言われていて、あとは馬主さんと相談しました。あんまり砂を被らないようにという。僕も先行したいなという気持ちだったので、ちょうど良かったです。
ホッコータルマエを見ながらとも言われたんですけど、そこはちょっと無視する形になりました(笑)。自分で強い馬をマークするより、けん制してるうちにいっちゃいたいなと。
スタートが上手に決まりましたし、道中も折り合いが付きましたし、4コーナーでも絡まれることなく脚を十分溜めることが出来ました。府中の直線が、いつも以上に長く感じましたね。最後の最後まで、どの馬が出てくるかなとドキドキしました。でもなかなか来なくて、これは行けるんじゃないかと。ホッコーのメンコだけが見えてたんですけど、それも真横でピタッと止まったので。
返し馬がなかなか止まらなくて…。ゴール後もなかなか止まらなかったです(笑)。勝つっていうことは馬にとっても気持ちが上がると思うので。
ウィニングランは芝でしたんですけど、ダートでばっかり走ってる馬だし、まだ雪も残ってるので少し怖がってました。
一回ケガしている馬なので、無事に現役を頑張って終えれるように。無事に行けば強い馬なので、能力は全然通用すると思うので。ケガなく行って欲しいです」
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村山明調教師
「3歳の時にすごく期待していた馬が、最近はスランプに陥っている感じだったので、調子が戻ってくれてすごく嬉しいです。
兵庫CSを勝って、
ジャパンダートダービーも1番人気になるかなというところで膝を骨折してしまい、休養を余儀なくされました。立ち直るのが見た目以上に難しかったです。
フェブラリーステークスに登録する週に、出走の可能性があるということで登録しました。追い切りの動きはだいぶ良かったですし、調教の内容も距離を長くもつようにしました。スタッフが本当に一生懸命頑張ってくれましたね。1/2の抽選をなんとか突破出来て良かったです。
実は
テスタマッタが
フェブラリーステークスに出る予定だったので、田辺騎手にお願いしていたんです。残念ながら
テスタマッタは引退となりましたが、オーナーと相談して田辺騎手にお願いすることになりました。
位置取りは思ったより前かなと思ったんですけど、東京で強い勝ち方をしたことがあったので、その時のイメージで頑張ってくれないかなというのがあったんですけど、本当によく頑張ってくれました。
ここまで人気して負けて、人気して負けてだったので…。ファンの方に期待していただいていたのに申し訳なかったです。ここで勝てて嬉しいですね。
今後は馬の様子を見てですが、
ドバイワールドカップに登録しているので、その辺りを馬主のコパさんと相談します」
◆2着は好位を進んだ
ホッコータルマエ。
JRA初GI制覇は、半馬身届かなかった。
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幸英明騎手「自分の形の競馬は出来ました。どうしても差がつまらなかったです。後ろから来る馬を意識していましたが、
コパノリッキーを意識していたとしても差が詰まったかわかりません。そのくらい、しっかりした脚でした。勝った馬を称えたいです」
◆3着は1番人気
ベルシャザール。得意と思われた芝スタートで少し後手を踏み、後方からのレースとなった。
・クリスチャン・デムーロ騎手
「スタートが甘くなりペースが遅くて外を回るしかなかったです。しまい勝負になった分ですね。もう少し距離があった方がいいかもしれません」
◆5着
ブライトライン・
福永祐一騎手
「ペースが遅かったので、自分から動きました。
ホッコータルマエを見ながら、悪くない位置取りだと思ったけど、直線追い出してから左にもたれてしまって…。真っ直ぐ走っていたら、勝ち負けに参加出来たと思います」
◆6着
ワンダーアキュート・
武豊騎手「外枠の競馬になってしまいましたね。馬は元気いっぱいで具合はよかったです」
◆8着
ニホンピロアワーズ・
酒井学騎手「タルマエとワンダーを見ながらの競馬が出来ました。ペースが遅かったので、結果としてもっと積極的に行ってもよかったかもしれません」
◆13着
ベストウォーリア・
浜中俊騎手「ポジションは考えてた通りでしたが、ペースが遅くてだんご状態でした。内枠だと、自分から動いていけないです。能力があるし、どんどん成長してくれると思います」
(取材:赤見千尋)