今年のアメリカクラシック二冠を制したものの、三冠挑戦目前で故障のため引退し、来年から日本で種牡馬入りするアイルハヴアナザー(I'll Have Another)に対し、ビッグレッドファームのオファーが1000万ドルだったことが明らかとなった。
馬主のポール・レダム氏によると、アメリカのスタッドからの正式なオファーは2つだけで、ひとつは300万ドル、もうひとつは250万ドル+9頭分の生涯種付権と、少なくとも500万ドルと見込んでいたレダム氏側とは大きくかけはなれていた。その後ビッグレッドファームが1000万ドルを提示し、その後他の日本の牧場もそれに近い額を提示した。また、レダム氏はアメリカのスタッドは種付け料17500〜20000ドルでの供用を提示したといい、それは成功に不可欠な最良の繁殖牝馬は集まらないことを意味すると指摘している。
これらのことから、レダム氏は日本でならアメリカより良質の牝馬が集まり、成功のチャンスが大きいと確信し、ビッグレッドファームへの売却を決めたという。また、もし日本で理想どおりの種牡馬生活が送れなかった場合は買い戻し、カリフォルニアで繁殖生活を続けるつもりであると付け加えている。そして、アイルハヴアナザーを日本に売却する決定を下さねばならなかったことは驚きと悲しみだったと締めくくっている。
【補足】
引退前のブラッドホースの記事で、アイルハヴアナザーの種牡馬としての価値は、三冠馬になったとしても評価は変わらず600〜1000万ドル、種付け料は20000〜25000ドルだろうというアメリカ生産界の予測を伝えていました。しかし現実はもっと厳しい評価だったようです。
こういう評価になる原因は、3代母以下の一族に重賞勝ち馬がいないなど血統価値が低かったこと、ミスプロ、ダンチヒなどアメリカでメジャーなインブリードが多く生産で使いにくいこと、配合が10ハロン(約2000メートル)以上を意識したもので、マイラー志向というトレンドから外れていることなどが挙げられます。
一方日本では2000〜2400がトレンドでインブリードの影響が少ないなどでハードルが低く、米二冠馬で売り出せるというビジネス的なメリットもあって高額オファーが出せたのでしょう。サンデーサイレンスのように低い評価を覆す成功を成し遂げられるかは、初年度産駒がデビューする見込みの2016年以降明らかとなります。
- ネタ元のURL
- http://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/71143/reddam-ill-have-another-sale-10-million