◆第74回
皐月賞。前評判は、群雄割拠の大混戦だった。馬券が発売された金曜日から、常に上位人気が変動を繰り返し、結局5番人気
アジアエクスプレスまでが10倍を切るオッズとなった。どの馬が勝ってもおかしくない――そんな雰囲気を覆し、力強い走りで
イスラボニータが一冠目を奪取した。(取材:赤見千尋)
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蛯名正義騎手
「勝てて良かったですね。競馬の前は、折り合いと、包まれないレースが出来ればと思っていました。内枠がアダにならないように。
今日は新馬戦以来の折り合いの良さで、いい形で持って来れました。初めての中山でしたが、十分折り合いが付いていて、いつでも弾ける手応えでした。人気馬が前にいて、それを見る形でいい位置だったと思います。先頭に立った時には『なんとか踏ん張ってくれ』と思ったんですけど、自分が思ってた以上に後ろは離れていましたね。
この馬は体がしなやかで、そういう部分は調教では積み重ねられないものですから。持って生まれた、天性のものです。
2歳の頃は、完成されてると思うくらいいい走りだったので、『もしかして早熟なのかな』と思ったくらいです。でも今年初戦を勝って、総合能力が高いのだとわかりました。
ダービーは距離が延びますが、順調に行ってくれて、折り合いが付けばと思ってます。この馬だけ距離が延びるわけじゃなくて、みんな一緒の条件ですからね。東京の方がさらにいい馬だし、ダービーが楽しみです。とにかく無事に行ってくれたらということですね」
・栗田博憲調教師
「強い勝ち方をしてくれて、改めてのこの馬の能力を感じました。本当に関心しますね。
この馬に会ったのは1歳の夏前ですが、その時から柔らかくてしなやかな馬だなと感じました。性格的にはやんちゃなところもあるんですけど、それがまたこの馬のいいところなんじゃないかと思っています。
今日は初めての中山でしたが、手前もきちんと変えるし、調教でも右回りを走っているので心配ないと思っていました。道中は掛からず、
グッドポジションをキープしていたので、少しずつ上がって行けばいいなと。本当に強いレースでした。
ダービーは距離が2400mになりますが、気性面がさらに成長して、克服して欲しいと思っています」
デビューから5戦4勝。唯一の黒星は
ハープスターの後塵を拝した新潟2歳ステークスのみ。この馬の底力は、まだ未知の世界と言っていい。さらに競馬がしやすくなる東京を舞台に、
蛯名正義騎手悲願のダービー制覇に向けて期待が膨らむレースだっだ。
◆2着は1番人気
トゥザワールド。前走の
弥生賞の時には、パドックや馬場入りの時に時折若さを感じさせる仕草を見せていたが、今日は一回り大人っぽくなった印象で、落ち着いて集中しているように見えた。
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川田将雅騎手「外枠からのスタートでしたが、スムーズにレースが出来ました。少し力んだ場面もありましたけど、リズムも良かったし、最後もしっかりと動いてくれました。今日は勝った馬が強かったですね。負けてしまったのは残念ですが、この馬も力を付けているので、次に向けて頑張ります」
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池江泰寿調教師
「思い通りの競馬が出来たと思います。蛯名騎手の2コーナーの外への出し方が絶妙でしたね。技ありです」
◆3着は大外枠から逃げ、粘りに粘った
ウインフルブルーム。
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柴田大知騎手「力は出し切れました。他の馬が来る前に、早め早めに仕掛けて行って、渋太く粘ってくれましたね。この馬の持ち味を生かせたと思います」
◆6着
アジアエクスプレス・
戸崎圭太騎手「前々で競馬をして早めに勝負を賭けたんですけど、最後は踏ん張れなかったです。この馬にとっては、もう少し湿ったような、重馬場の方がいいのかもしれないですね」
◆11着
トーセンスターダム・
武豊騎手「スタートも良くて、今日は思ったよりいいポジションで競馬が出来ました。ただ、3コーナーの馬場の悪い所から、急に行きっぷりが悪くなってしまって…。びっくりしたような走りになってしまいました。今日は負けて残念ですが、これがいい経験になってくれれば。ダービーで巻き返したいですね」