ステイヤーとして12歳まで活躍をつづけた
トウカイトリック(セン12)が、4月16日に重度の骨折のために急逝した。
およそ10年間に渡る競走生活に別れを告げて、競走馬登録を抹消したのが今年の2月8日。その後は誘導馬を目指して、京都競馬場で乗用馬としての調教を積み重ねていたが、その矢先の4月16日に悲劇が起きた。競馬場内のサンシャインパドックに放牧中の同馬の脚元に、何らかの負荷がかかり、右第1指骨粉砕骨折を発症してしまったのだ。診断は予後不良、安楽死の措置がとられた。
通常、
JRA施設内の乗馬が亡くなった場合、発表はされないのだが、今回はファンが多い馬であるため、元のオーナーや厩舎関係者等に連絡、及び、発表を行うことへの理解を得るという過程を経て、4月24日、公式に発表の運びとなった。
長い競走生活とは対照的に、乗馬としての馬生はあまりに短すぎた。それだけに、誘導馬として登場するのを心待ちにしていたファンの間には衝撃が走った。netkeiba.comのニュースに対するコメントや同馬の掲示板には、
トウカイトリックを悼む人々の言葉で溢れている。12歳まで競走馬として走り続け、乗馬として志半ばで散った
トウカイトリックの名は、ファンの心の中に深く刻まれたことだろう。
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トウカイトリック急死の第一報、たくさんのコメントが寄せられた→
こちら 来週末には、
トウカイトリックの眠る京都競馬場で天皇賞が行われる。誘導馬を務める夢は叶わなかったが、かつて一緒に走った仲間たちや後輩たちの走りを、先輩として温かく見守っていてくれる…そんな気がしてならない。
(取材・文:佐々木祥恵)