衝撃の末脚だった。第150回
天皇賞・秋は、内で競い合う
ジェンティルドンナと
イスラボニータを尻目に、5番人気の
スピルバーグが一気に突き抜けた。前走の
毎日王冠では進路がなく3着に泣いたが、このGIの舞台で雪辱を果たした(取材:赤見千尋)。
◆1着
スピルバーグ・
北村宏司騎手「勝ててよかったです! (GIは)久しぶりですね。
ここのところ体力がついて来て、調教でも少しずつ負荷がかけられるようになっていたので、レースでのコンディションも安定してますね。
新馬戦の後、今考えると強い相手といい勝負していましたし、素質を感じていました。ただ、コンディションを保つのに苦労していました。以前なら続けて使えなかったですけど、馬が頑張ってくれて、結果を出せて嬉しいです。前走は直線で進路を見いだすことが出来ず、馬にもファンの皆さんにも申し訳なかったです。
今日は相手どうこうよりも、あの末脚をどう引き出すか、そこに徹していました。それほど外には回したくなかったんですけど、前回のことがあったので、そういう選択をしました。新馬戦の前から乗せてもらって素質を感じていましたし、そこから少しずつクラスが上がって。毎回毎回楽しみなレースをしてくれて、ここまで来ることが出来ました。
天皇賞を勝たせてもらって、馬にも関係者の皆さんにも、応援してくれたファンの皆さんにも、本当に感謝しています」
・
藤沢和雄調教師
「久しぶりでした。とても嬉しいです。
スピルバーグはいつもおっとりした感じの馬で、今日もいつも通りの雰囲気でした。北村くんは前回も乗ってるし、馬のことを分かっているので、細かい指示はしていません。もともと、そんなにスタートが速いわけではないので、今日もそんな感じかなと思っていました。
坂の上り辺りから加速して、いいところに来るかなと感じました。本当によく頑張ってくれましたね。とても期待していた馬ですが、なかなか使い込めなかったんです。春も本当はもう一戦したかったんですけど、続けて使うと疲れが出てしまって…。いい体をしていましたが、それをもて余していたんです。ここまでこれたのは、本人の頑張りがあったからですね。
このあとは
ジャパンカップを選択すると思います。
オーナーには、これまでずいぶん応援していただいて、何頭もいい馬を入れてもらったのに、うまくいきませんでした。今回勝ててよかったですし、本当に感謝しています。
ファンの皆さんにはいつも応援していただいて、本当にありがとうございます」
◆2着は女傑
ジェンティルドンナが踏ん張った。直線では内の狭いところに入り込み、一度は
イスラボニータに交わされたものの、もう一度盛り返して2着を死守。
オルフェーヴルに競り勝った勝負根性を見せつけた。
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戸崎圭太騎手「本当によく頑張ってくれました。すごい馬です。いい雰囲気で走れましたが、直線は狭いところだったので、もう少し広いところに出せれば、気持ちよく走れたかもしれません。折り合いもついていたし、衰えはまったく感じませんね」
◆3着は1番人気
イスラボニータ。3歳馬12年ぶりの天皇賞制覇は、厚い古馬の壁に跳ね返されたが、直線では一度先頭に立つ見せ場を作り、今後の戦いが楽しみになるレースだった。
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クリストフ・ルメール騎手
「スタートしてからペースがゆっくりだと感じたので、ポジションを上げていきました。道中落ち着いていたし、手応えもよかったです。
ただ、1頭になった時に遊んでしまって、最後は差されてしまいました。追い出しを待ったつもりだったけど、もう少し待ってもよかったのかもしれません。まだ3歳馬だし、よく頑張ってくれました」
◆4着
ラブイズブーシェ・
古川吉洋騎手「勝ったと思いました! 残念です…。スタートも良くて、いいところにつけられたし、力をつけてますよ」
◆5着
ヒットザターゲット・
武豊騎手「よく頑張りました! 内は開きそうにないと判断して外に行きました。折り合いがついたら、確実に脚を使ってくれる馬。もう少しで2着もありました。力をつけてますね」
◆6着
エピファネイア・
福永祐一騎手
「パドックから気合いが入っていて、これくらい気合いが入っている方が動けるのかなと思ったけど、ゲートに入ってから突進しそうになって、タイミングがよくなかったです。それが最後まで影響しました。紙一重の精神状態を上手く結果に繋げられなかったです」
◆7着
デニムアンドルビー・
浜中俊騎手「前がずっと壁になってしまいました。もっと早く進路が見つかれば…。ゴール前は伸びてるだけに、もったいなかったです。春より良くなってるし、力がありますね」
◆9着
カレンブラックヒル・
秋山真一郎騎手
「スムーズにハナに行けました。最後まで頑張ってるけど、もうちょっとですね。昨日の雨がもうちょっと残ってくれてたら」
◆14着
フェノーメノ・
蛯名正義騎手
「今日はとにかくゲートがうるさかったです。いつもは我慢出来るんですけど…。あのポジションでもと思っていたけど、直線弾けなかったです。全然伸びなかったです。なんとも言えないですね。ちょっと気負いすぎな面があったかもしれません」