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デビューが待ち遠しいロシア産馬ダノンシェル

  • 2008年07月01日(火) 23時46分
スペシャルインゼル(牡 美浦・田中清隆 父スペシャルウィーク、母クバター)
 母クバターはアルゼンチン産で、現役時代に亜1000ギニー(G1)を制した。母の父De RamiroはBold Ruler系ながら、その母系には伝統的なアルゼンチン血統が流れているので決して軽い血統ではない。本馬の母系の奥にもRelko、Ballymossといった欧州系スタミナ血脈が入っており、全体的には2000〜2400mあたりに向いているだろう。La Troienne牝系のクロスなどもあり配合も悪くない。素軽さが備わっていればおもしろい。

ダノンシェル(牡 美浦・萩原清 父Triple Buck、母Veranda)
 昨年輸入された2頭のロシア産馬の1頭。父Triple Buckはアメリカ産で、Sunny's Haloを経てHaloにさかのぼるサイアーライン。3歳時にウッドメモリアルS(G1)で3着となったのが目立つ成績。引退後はロシアに渡って種牡馬となり、ロシアダービー馬Artikul、Znatokなどを送り出して成功している。母、2代母の成績はよく分からないが、3代母Strunaは牝馬ながらソ連ダービーを制した女傑で、同国の3歳牝馬チャンピオンに輝いている。父Triple BuckがHalo系、母の父DotseroがMr.Prospector系なので、アメリカ血統の影響が強い。芝・ダート兼用の中距離タイプ。生産牧場のヴォスホードスタッドはソ連史上最強馬Anilin(1961年生)を生産したことで知られ、最近では英2000ギニー馬アントレプレナーを導入するなど、伝統のみならずモダンな馬産を実践しているように思われる。正直なところ日本産馬との比較はつかないが、決して馬鹿にしたものでもないだろう。

ナショナルヒーロー(牡 栗東・池江泰郎 父キングカメハメハ、母シルクプリマドンナ)
 母シルクプリマドンナは現役時代にオークス(GI)を勝ち、桜花賞(GI)でも3着と健闘した。初仔のアルブレヒト(父ダンスインザダーク)は競走に出ることなく引退し、2番仔フサイチフェイマス(父ダンスインザダーク)は3戦して3着が最高。繁殖牝馬としてはまだ結果を出していない。本馬の父キングカメハメハは新種牡馬で、先々週、先週と計4頭がデビューしたものの、まだ勝ち上がった馬は出ていない。芝・ダート兼用の中距離タイプ。底力は十分なのでスピードが欲しい。

ヒラボクエクセル(牡 美浦・国枝栄 父スペシャルウィーク、母フラワーアーチ)
 半姉にフィリーズレビュー(GII)2着のベストオブミー(父ブライアンズタイム)がいる。父スペシャルウィークはNijinskyを抱えているため、それとニックスの関係にあるRed Godと相性がいい。サンバレンティンとインティライミの兄弟はこのパターンから誕生している。本馬の母の父NashwanはRed God系。血統背景、配合ともに良好で、芝の中距離で出世しそうだ。

ラルーチェ(牝 栗東・平田修 父クロフネ、母アドマイヤセラヴィ)
 母アドマイヤセラヴィは未勝利馬だが、繁殖牝馬としてはアーリントンC(GIII)4着のアドマイヤディーノ(父フレンチデピュティ)を産んでいる。本馬の父クロフネはフレンチデピュティ産駒なので、本馬とアドマイヤディーノは4分の3同血の関係にある。Vice Regent=ヴァイスリーガル4×4という全兄弟クロスがあり、単純に配合だけを見れば兄よりも力馬っぽい側面が出やすい懸念があるが、牝馬だけに杞憂に終わるかもしれない。芝・ダート兼用のマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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