それにしてもサンデーサイレンス産駒と、武豊騎手のコンビはすごい。トゥザヴィクトリーが差す形をとったのは、もうデビューして17戦目、5歳の秋にして初めてだった。
詰めの甘さを補うため、一気に逃げるとか、あるいは差す形をとるとか、なにかしてくるのは考えられたが、こうも鮮やかに決まってしまうと脱帽するしかない。サンデーサイレンスが天才種牡馬なら、武豊騎手も天才、ここ一番のG1レースで150点ぐらいの能力を発揮してしまった。
流れが速くなり、時計勝負になったときのマイル戦や中距離戦は、各馬にほとんど差はつかないとされる。1分58秒台前半になったときの天皇賞(秋)や、1分33秒台前半になったときのマイルチャンピオンSがそうだが、ここも着差は鼻・鼻・首・首。5着テイエムオーシャンまでまったく差がなかった。
2分11秒2はレースレコードだが、2000mで1分58秒台も珍しくない現在、2200mなら2分11秒台は当たり前。前5年のように、2分12〜14秒台のレースの方が不自然だったといえるかもしれない。
ローズバドの鼻差は、ほんのあと一歩で勝っていたと思えるほどきわどかった。連続して4回も小差2着。一族のロサードにもそんなところがあるが、小柄な馬体も、2着が多いのも一族の特徴なのだろう。今週はロサードがマイルCSに出走の予定だ。