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大物マイラーになれるか、ロスパンチョス

  • 2008年07月29日(火) 23時46分
イナズマチーター(牝 栗東・松元茂樹 父カリズマティック、母スエヒロジョウオー)
 母スエヒロジョウオーは阪神3歳牝馬S(GI)の勝ち馬。9番人気だったこともあり、またその後1勝もできなかったことからフロック視する向きも多かったが、初仔のスエヒロコマンダー(父コマンダーインチーフ)が鳴尾記念(GII)と小倉大賞典(GIII)を勝ったことで、自身の価値を証明してみせた。本馬はその半妹。父カリズマティックはStorm Bird系の米二冠馬で、種牡馬としてはダート向き。本馬はStorm Bird≒Nijinsky 3×4という近似血脈のクロスを持っている。瞬発力は期待できないが、ハイペースで先行してバテないだろう。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ジョウノノーブル(牝 栗東・森秀行 父キングカメハメハ、母シーズグレイス)
 母シーズグレイスは重賞未勝利に終わったものの、ローズS(GII)2着、フェアリーS(GIII)2着など優れた成績を残した。繁殖牝馬としてもシャドウスケイプ(04年根岸S-GIII、04年クラスターC-交流GIII)を産んでいる。父キングカメハメハは今年の新種牡馬で、本馬と同じ「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせを持つ馬はまだ出走していないが、おそらく成功するだろう。母系の奥に入るNever Bendは、父キングカメハメハのキー血脈のひとつなので好感が持てる。芝・ダート兼用のマイラー。

ファンキーブロンド(牝 栗東・池添兼雄 父アグネスタキオン、母ステファーナ)
 母ステファーナは未勝利馬ながら、繁殖牝馬としてはGIウィナーのプライドキム(04年全日本2歳優駿-交流GI、04年兵庫ジュニアグランプリ-交流GIII)を送り出して成功している。基本的に父アグネスタキオンはスタミナ色の強い血統と好相性を示しているが、リアルシャダイとの組み合わせも悪くなく、堅実な成績を収めている。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ロスパンチョス(牡 栗東・大久保龍志 父フレンチデピュティ、母ロスマリヌス)
 母ロスマリヌスはグレイトジャーニー(04年シンザン記念-GIII、06年ダービー卿CT-GIII)の全姉、ノーリーズン(02年皐月賞-GI)の半姉にあたる良血。現役時代は2戦2勝。2戦目の白菊賞(500万下)ではダイタクリーヴァ(重賞5勝)相手に完勝しており、故障せず現役生活をまっとうしていれば、サンデーサイレンス牝馬の代表産駒の1頭となっていた可能性もある。初仔のスマイルビジョン(父ブライアンズタイム)は7戦未勝利に終わったが、2番仔のロスペトリュス(父タイキシャトル)はOPクラスで入着するなどまずまずの成績。本馬と同じ「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」の組み合わせからは桜花賞馬レジネッタをはじめ4頭の重賞勝ち馬が出ている。「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス×Mr.Prospector」はライラプス(05年クイーンC-GIII)と同じ。芝向きのマイラーだろう。

ジェルミナル(牝 栗東・藤原英昭 父アグネスタキオン、母オンブルリジェール)
 母オンブルリジェールはフランスでペネロープ賞(G3・芝2100m)を制覇。初仔のプルームリジェール(父Diesis)は未勝利に終わったが、アグネスタキオンを父に持つ本馬は期待できる。同産駒は基本的にヨーロッパのスタミナ血統と相性がよく、そうした血を母系に抱えたものが大物となる。本馬の母はハイペリオンをベースとした重厚な血で構成されており、それでいてTudor Minstrel≒Abernant 4・5×6などもあるため重苦しさはなく、芝向きの中距離配合としては上々といえる。切れ味が備わっていればおもしろい。

マイネチェルシー(牝 栗東・羽月友彦 父マンハッタンカフェ、母タイキエリザベス)
 父マンハッタンカフェは、代表産駒のメイショウクオリア(08年京都新聞杯-GII)、オリエンタルロック(07年札幌2歳S-GIII)、メイショウレガーロ(07年京成杯-GIII・2着)、ココナッツパンチ(07年弥生賞-GII・2着、07年目黒記念-GII・2着)がいずれも母系にBlushing Groomを持っている。この配合パターンはニックスといっていいだろう。本馬は2代母の父がBlushing Groom系なのでこの形。母タイキエリザベスは芝中距離で2勝を挙げており、おそらく本馬も芝中距離を得意とするだろう。Alleged 4×4などもあり底力十分。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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