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週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

  • 2001年11月14日(水) 00時00分
 香港ジョッキークラブから、12月16日にシャティン競馬場で行われる香港国際競走の、外国馬枠選出馬が発表されたが、素晴らしい顔ぶれである。我らが日本代表も過去最強のメンバーが構成されたが、いずれも一筋縄ではいかないメンバー構成となっている。

 ダイタクヤマトとメジロダーリングが選出された香港スプリントの目玉は、アメリカからエントリーしているコーラーワンだ。昨年のBCスプリントで、オープニングクォーター20秒82、半マイル通過43秒56という伝説のラップを刻んだ、超快速馬である。今年のBCスプリントも3着と衰えは見られず、春3月にドバイに遠征した時には、1200mのゴールデンシャヒーンをナドアルシバのトラックレコードで制し、直線コースではそのスピードが益々威力を発揮する事を証明済みだ。昨年のキングズスタンドS、ナンソープS、今季のスプリントC等の勝馬で、フランスからアメリカに移籍したばかりのニュクレアディベート。昨年のこのレースの勝ち馬で、連覇を狙ってオーストラリアから再度遠征してくるファルヴェロンらも強敵である。

 トロットスターの挑む香港マイルも、欧州から、ムーラン賞、ヴィトリアディカプア賞と目下この路線のG1連勝中のスリックリー。北米から、BCマイル2着のフォービドゥンアップル。そしてオセアニアから、このレース連覇を狙う歴史的名牝サンラインと、各地域から最強クラスがエントリーしている。キャピタルSに登録するため日本に滞在しているプラウドウィングスの登録もあり、彼女が出走するとなると、鞍上はやはり主戦の武豊になるのであろうか。

 メンバー的に最も恵まれたのが、香港ヴァーズに参戦するステイゴールドか。JCから梯子するウィズアンティシペーション、パオリーニ、ホワイトハート、カナディアン国際で共に上位入選→降着の憂き目に遭ったジンダバッド、ダリアプールあたりが相手なら、ステイゴールドが本気になりさえすれば、突き抜ける事は容易なはずだ。唯一不気味なのが、先日のメルボルンCに勝って勢いに乗るイシリアルか。日本には来てくれない豪州馬が、香港には多数参戦しているのは、何とも悔しい限りだ。

 凄いメンバーが揃ったのが、メインの香港カップだ。今季のドバイデューティーフリーの勝馬で、既に香港国際競走3勝という“香港キング”ジムアンドトニック。春の香港クイーンエリザベス2世C、夏のアーリントンミリオンと、今季この路線のG1・2勝のシルヴァーノ。今年のBCマイルの覇者ヴァルロイヤル。英チャンピオンS2着、英ダービー3着という欧州3歳世代のトップホース・トゥブーグ。アーリントンミリオンの2着馬で、今季北米でこの路線の重賞4勝のハップ。エクリプスS3着、愛チャンピオンS3着のバッハ。ムーラン賞3着、クイーンエリザベス2世S3着のホークアイと、揃いも揃ったり。日本代表のアグネスデジタルも加えて、まさに、今年1年の世界の競馬を締めくくるに相応しい大一番となりそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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