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キンカメ産駒の成功パターン、キングオバマ

  • 2008年08月12日(火) 23時46分
ヴィスペッツァ(牝 美浦・的場均 父フレンチデピュティ、母ラビットフット)
 母ラビットフットは現役時代、マイル以下の芝で準OPまで出世した。繁殖牝馬としては3頭の産駒を送り出し、いまだ大物は現れていないものの、いずれも勝ち上がっている。本馬の父はフレンチデピュティ。同産駒は母系にMr.Prospectorが入るパターンが好結果を生んでいるので、それに当てはまる本馬は悪くない。ややアメリカ血統で固めすぎた感があるのでダートも得意だろう。母同様マイル以下に向く。

カイラス(牡 栗東・岩元市三 父マヤノトップガン、母ドサンコサンデー)
 母ドサンコサンデーは未勝利馬(中央2戦0勝)だが、ダンツキッチョウ(05年青葉賞-GII)の全姉、サマニベッピン(95年阪神牝馬特別-GIIなど重賞3勝)の半妹にあたる良血。「マヤノトップガン×サンデーサイレンス」の組み合わせは成功しており、プリサイスマシーン(07年阪急杯-GIIIなど重賞4勝)、ワキノカイザー(OP)などが出ている。本馬は母系の奥にパーソロンが入っている。これはプリサイスマシーンと同じ配合パターン。芝向きの中距離馬だろう。

キングオバマ(牡 美浦・大江原哲 父キングカメハメハ、母ベーゼドフラーム)
 父キングカメハメハは新種牡馬の勝ち星ランキングで断然トップに立っている。現在勝ち上がった5頭のうち、じつに3頭(エリモプリンセス、ショウナンサミット、キングスレガリア)がNureyevの牝系であるSpecial-Thongのラインをクロスさせている。これはKingmambo系の必勝パターンであり、産駒がデビューする前からある程度予測できたことだった。本馬はこのパターンを踏襲している。また、「Tourbillon系と相性がいい」というもうひとつの成功パターンにも当てはまっており、配合的な完成度は高い。母の父オペラハウスは母系に潜るとイメージ以上に重くなってしまうので、そのあたりが課題だが、ここをクリアできれば期待大。

タイキグラディウス(牡 美浦・久保田貴士 父Dubai Destination、母スカルプトレス)
 母スカルプトレスは不出走馬だが、ハッピールック(01年アルゼンチン共和国杯-GII・2着)の半妹にあたり、2代母シンコウビューティはシンコウラブリイ(93年マイルCS-GI、93年毎日王冠-GIIなど6つの重賞を制覇)の全妹にあたる良血。これにKingmambo系Dubai Destinationを交配して本馬が誕生した。父は現役時代、イギリスのマイル戦線で活躍したスピード馬で、クイーンアンS(英G1)を勝った。種牡馬としては初年度産駒(現3歳世代)からG1ホース(英G1レーシングポストTを勝ったIbn Khaldun)を送り出している。芝・ダート兼用の中距離馬だろう。

リーティラ(牝 栗東・梅内忍 父クロフネ、母エイプリルドラマ)
 半兄ロジック(父アグネスタキオン)はNHKマイルC(GI)の覇者。成長力がイマイチだったのか古馬になってからは散々な成績だったが、GIを勝つまでは8戦してすべて3着以内だった。本馬はクロフネ産駒。「クロフネ×サクラユタカオー」という組み合わせは過去1頭もいないが、母系にテスコボーイとスターロッチが入る配合としてはシェルズレイとブラックシェルの姉弟がいるので、意外に悪くなさそう。芝・ダート兼用のマイラーでコンスタントに稼ぐタイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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